本日、7月14日(土)は、東京オペラシティのアートギャラリーで「イサム・ノグチ 彫刻から身体・庭へ」展の初日です。気温35度を超える炎天下の中、初台はオペラシティまで行ってみました。
イサム・ノグチ(1904-1988)は、日本人の父親とアメリカ人の母親のもとに生まれ、世界を旅しながら生き、彫刻を始め舞台美術や家具、照明器具などのデザイン、陶芸、庭、ランドスケープデザインまで、幅広い制作を行いました。
そんなイサム・ノグチの「身体」にフォーカスしたのが今回の展示会です。身体を意識するが故、子供のための遊具デザインや庭、ランドスケープといった人間を取り巻く環境への情熱に拡大していったことに着目しています。
イサム・ノグチは、巨石の彫刻がとくに有名ですが、早期には、毛筆による身体のドローイングを残しており、今回の展示会では、入るなりドーンッ!と巨大な女体水墨画(?)を観ることができます。和紙に墨、筆ですので、書き直しが一切きかないのが書や水墨画ですが、イサム・ノグチの水墨画では、迷いのない筆で生き生きとした身体が描かれており、彫刻しか知らない方がおりましたら必見です。
- イサム・ノグチ《北京ドローイング(横たわる男)》
1930
インク、紙イサム・ノグチ庭園美術館(ニューヨーク)
©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York / Artist Rights Society [ARS] – JASPAR.
Photo by Kevin Noble.
イサム・ノグチは、戦後、1950年に来日して以降、日本の暮らしや伝統、歴史や社会と向き合いながら、 建築家の谷口吉郎、陶芸家の北大路魯山人ら多くの芸術家たちと交流し、新たな制作に取り組んだとされています。 日本の風土や埴輪などに触発された素朴で大らかな造形は、現代人が忘れた生命の輝きに満ちています。
イサム・ノグチの作る作品の多くは、過去の歴史から着想を得たものが多くあるようで、本展示会では、数多くの陶芸作品が展示されています。これらの作品を眺めていると、確かに縄文に通じるおおらかさを感じることができます。イサム・ノグチは、米国と日本のはざまで自分のアイデンティティに揺れ動いた人として知られていますが、徐々に日本への思いを強める中で、ルーツとして縄文と対話しながら作品を作っていったのでしょうか。
- イサム・ノグチ《別嬪さん》
1952
陶(瀬戸)、麻
イサム・ノグチ庭園美術館(ニューヨーク)
©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York / Artist Rights Society [ARS] – JASPAR.
Photo by Kevin Noble.
ところで、先日紹介したオクテトラですが、その模型が展示されています。公園に置くので、たいそうなサイズだと思いませんか?
真逆です。
作品の多くが巨大なものであるのに対し、模型はとても小さいというギャップは大変興味をそそられます。オクテトラの模型は、消しゴム程度のサイズですので、見落とさないように!
- イサム・ノグチ《オクテトラの模型》
1968
石膏、彩色
イサム・ノグチ庭園美術館(ニューヨーク)
©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York / Artist Rights Society [ARS] – JASPAR.
Photo by Kevin Noble.
本展示会では、2点だけですが、写真を撮ることができます。間近にイサム・ノグチを感じながら、撮ってみましょう。
イサム・ノグチが日本に残したもの
イサム・ノグチは、1969年以降、香川県にアトリエを構えました。そのアトリエは、現在では、「イサム・ノグチ庭園美術館」として残されています。
見学はできますが、予約制ですので、往復はがきで希望日を書いて送る必要がありますので、注意が必要ですね。いつか行きたいです。
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