本企画展は、「デザイン的思考」を伝えるNHKの教育番組「デザインあ」のコンセプトをもとに、デザインの視点や考え方を体験し、科学技術とのかかわりをも理解するものです。五感を最大限に活用した体験型展示は「観察」「分類・分解」「再構築」など、デザイン的思考を体験者自らが導き出せるよう工夫されています。また、映像と音楽によるインスタレーションなどの展示を通して、デザインの楽しさ、面白さを体験することができます。
本企画展は2013年開催の「デザインあ展」*を一新し、食、プロダクト、身体、空間、時間など生活の中にある身近な8つのテーマに焦点をあてます。それらを「みる・かんがえる・つくる」というデザイン的な視点の中に、科学技術との共通性や違いを発見してもらえるでしょう。
「デザイン」という言葉は、形や色をうまく整え、ものを作ることだと捉えられがちですが、本質的には、対象を観察、分析、考察したあと、組み合わせ、解決を導きだす方法論を意味しています。「デザイン」と「デザイン的思考」は、複雑な社会の共通理解を単純にし、さらに新しいシステムを構築し、そして直面する課題解決のために多様な人々が共創する重要な道具になると注目されています。展示場のたくさんの「あ!」という発見を通して、子どもも大人も一緒に、デザインを楽しく学び、思考を身に付け、自分たちの未来そのものをデザインし実践するきっかけになるでしょう。
*2013年に21_21 DESIGN SIGHTで開催。
人のあらゆる営みに、デザインは欠かせません。つまり、こどもの時からのデザイン教育が、とても大切なのです。そのような想いで始まったデザイン教育番組「デザインあ」を、身体と共に体験してもらえるのが「デザインあ展」です。2013年に開催した実験的な「あ展」を、さらに発展させる今回の「デザインあ展」は、これからのデザイン教育のあり方、そして展覧会の新しい形を提案できると思っています。
身のまわりにあるモノ・コトから、「お弁当」「マーク」「容器」「からだ」「なまえ」の5つのテーマを取りあげます。それぞれのテーマが、デザインによってどのようにわたしたちとつながっているのか。「みる」「考える」「つくる」というステップで展示いたします。
番組オリジナルソングや音楽とぴったりシンクロする映像が、展示室の四方の壁面いっぱいに映し出されます。ダイナミックに360°を取り囲む映像と音の中に飛び込んで、からだ全体でデザインを感じ取ってください。
「空間」「時間」「しくみ」の、3つのテーマで構成されています。場、時のながれ、人のうごきを、わたしたちはデザインを通してどのように感じているのか。体験型作品や、デザインあ展ならではの展示を準備しています。
番組で人気の「デッサンあ」「みんなのあ」「もん」を体験できるコーナーもあります。「デッサンあ」作品は専用サイトに掲載されます。「みんなのあ」は、展覧会参加作家によって選ばれた作品が、順次会場で展示されていきます。ぜひ挑戦してみてください。
©Satoshi Asakawa 画像は、デザインあ展 in TOYAMA での展示風景です。