2019年7月13日(土)から10月14日(月・祝)までの期間、東京・国立科学博物館にて「恐竜博2019」が開催される。
国立科学博物館・恐竜博2019の見どころ
本展では、2.4mの長い腕を持つ謎の恐竜「デイノケイルス」の貴重な図骨などの実物化石と、世界初となる全身復元骨格により、全貌が明らかとなります。
デイノケイルスとは
デイノケイルス (Deinocheirus ) は、中生代白亜紀末期に生存した恐竜です。1965年にモンゴルで全長2.4メートルに達する巨大な両腕の骨格化石のみが発見されて1970年に記載されましたが、長らく詳しい事はわかっていませんでした。しかし、2013年の古脊椎動物学会で、2006年と2009年に胴体部分が発見されたと発表されました。
属名は、ギリシャ語で「恐ろしい手」を意味し、ギリシャ語のケイロス(χειρος)は手を意味する単語です。
近縁種を元にした想像図
また、日本の恐竜研究史上、最大の発見となる全身の80%が残る前代未聞の完成度となる「むかわ竜」。北海道で見つかった全長8mを超える全身骨格化石を世界初公開。
本展での公開は、2018年9月に、ようやく発掘後のクリーニングが終わったばかりの超最新化石となります。
むかわ竜とは
むかわ竜とは、むかわ町穂別地域から発掘された、白亜紀末のハドロサウルス科恐竜化石のことです。
2017年4月までにクリーニングしたむかわ竜の骨化石
2018年9月に発表したむかわ竜化石
2003年4月に穂別町在住の堀田良幸さんが散歩の延長でアンモナイトなどが産出する沢沿いを歩いていた際に、崖の中腹で骨化石を発見し、穂別町立博物館に寄贈しました。この骨化石は首長竜の尾椎骨であると判断され、そのクリーニング作業は、他の重要な化石に次ぐものとして後回しにされていました。
その後、2010年から首長竜化石としての調査・研究のため、この化石のクリーニング作業をはじめました。2011年に、首長竜としての研究をお願いしていた佐藤たまき先生(東京学芸大学・准教授)が、この標本が首長竜ではなく恐竜のものである可能性を指摘しました。
そこで、恐竜研究の専門家である小林快次先生(北海道大学総合博物館・准教授)に鑑定をお願いしたところ、恐竜化石であることが確認され、おそらくハドロサウルス科(植物食恐竜)のものだろうとされました。2003年に寄贈された部分は尻尾の中間から後ろにあたる尾椎骨が13個も連結していたものであったので、この恐竜は、死後その場で埋没し、化石になったものだろうと推定されました。恐竜化石が産出した層準は波の影響を受けないほど水深が深い場所であることなどから、尻尾だけでなく全身骨格が埋蔵している可能性も高いことが分かりました。
その後、2014年の第二次発掘までに全身の大部分が採集されたと考えられ、化石周辺の余分な岩石を取り除くクリーニング作業を重点的に進めてきました。このハドロサウルス科恐竜は全長8mで、日本から産出した極めて保存状態の良い恐竜化石として世界的に注目されています。2017年4月には、クリーニング作業が終わった部位のみで全身の5割以上の骨が確認され、日本最大の全身骨格恐竜であるとされました。2018年9月にはクリーニング作業が終わり、骨化石のうち部位が判明しているものだけで、全身の6割(骨の個数)もしくは8割以上(骨の体積・ボリューム)が確認されました。
恐竜遺骸が流されているようす(服部雅人氏提供)
出典:北海道むかわ町公式HP「調査・研究中のハドロサウルス科恐竜化石 」より
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