病院とアートの関係 ホスピタルアート

アートが人の心に与える効果・効能、影響について、あれこれ様々な研究がなされています。
例えば、病気やけがをして、病院に通ったとき、外来で待っているとき、壁に飾られているアート作品をぼんやり眺めるということはあるのではないでしょうか。

最近は、真っ白で無機質な病院を作るより、カラフルであったり、アーティスティックであったり、患者の気持ちを和らげるような病院の内装、サイン計画、アート作品の展示を通じ、療養環境の向上を目指す病院が増えているように思います。
それがホスピタルアートです。

ホスピタルアートは今に始まったことではなく、ずいぶん前から、アート作品を病院内に飾ることは行われていました。
しかし以前は、療養のためのアート作品ではなく、病院ステイタスのためのアート作品展示が多かったように思います。
今のホスピタルアートは若干ニュアンスが異なります。
アートの持つ治癒能力にフォーカスするものです。

アートそのものに傷病を回復する効力があるのではなく、アートを鑑賞する患者・家族が、その作品を通じ、精神的にポジティブな感情を抱き、これをもって身体的な治癒力へアクセスするというものではないかと思います。

 

ホスピタルアートの壁としては、「コスト」ではないかと思います。
元々、病院の収益は「診療報酬」という仕組みの上に成り立っており、患者を治療する「方法」によって、国が定めた料金を国に請求し、それに基づいて支払い(収益)を得るというものです。
ゆえに、たくさん治療し、あらゆるコストを節減することで、ようやく利益が確保でき、この利益の範囲内でホスピタルアートにかけることができる費用を捻出するのです。

しかし、診療機能を維持していくためには、5~6年毎に更新していく医療機器や情報システムなどにも投資しなくてはなりません。
どうしても、本質的な診療機能のほうへ再投資する必要があり、アートへの投資は二の次になりがちです。

また、新病院開院の際であっても、アートに関する投資は、経験上、2~3千万円程度しか確保できないのが現状です。

そこで、提案です。
大企業やそれなりに利益を確保している企業のオーナー、社長さん、皆さんの操業している地の病院さんへ、CSRの一環として、アートを寄付しませんか?

アート購入資金でも良いですし、ご自分の好きなアーティストの作品を購入し、送り付けるのでも良いです。
キュレーターの派遣費用の寄付でも、地元で活躍するアーティストへの支援でも良いと思います。
利益のわずかを社会的意義や美術振興を通じ、人の療養環境の向上に使ってもらえないかなー、という提案です。
これは、企業の社会的存在意義、患者のQOL(クオリティオブライフ)の維持向上、アーティスト支援という3方にとって、とても優位な考え方だと思います。

もし、ご自分や会社が、アート支援について多くのノウハウをお持ちでないようでしたら、ホスピタルアートを専門にやられている団体を通しても良いかと思います。

例えば、ターナー色彩株式会社ワンダーアートプロダクションアートココ など、いくつか支援企業もあります。
ぜひ、協力し、医療と企業、アートと療養環境の向上を推進していただければと思います。

引き続き、医療&アートの良い事例があれば、探しておきます。
「取材に来い!」というお声かけも歓迎です。

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