又造とは、日本を代表する日本画家 加山又造さんのことです。「春秋波濤」「千羽鶴」「おぼろ」「墨龍」「裸婦」など、実に多種多様な作品に挑戦し「日本のピカソ」と評する人もいます。そんな又造さんのコンプレックスや挫折を明らかにしながら、その葛藤の中で生み出していった作品を展示しています。
加山又造はカラスの自画像を転機として、自身の人生物語の主人公になっていきます。
Re 又造 展示会の見どころ
本展示会の特徴は、「写真OK!」、「一部の作品、お触りOK!」、「デジタルアートとの融合」です。
展示会場の作品はすべて撮影し、SNSなどにアップロードすることが可能ですので、思い切り撮影しまくることができます。
また、陶器に転写した複製の作品は、直接触ることができます。
Re 又造展 加山又造展では、又造の作品とデジタルアートの融合を試みた展示作品があります
日本画とプロジェクトマッピングのようなデジタルアートと共に、作品が展示されています。上の画像では、桜が描かれている周りに、薄い布がレイヤーのように掛けられ、そこへ星のような光が投影されています。
本アート展では、加山家秘蔵の「黒い鳥」を公開する他、原画作品だけでなく2016年5月に開催されたG7伊勢志摩サミットの会場で展示した陶板美術「おぼろ」を展示し映像演出で世界観を表現します。
また、身延山久遠寺の天井画「墨龍」、臨済宗大本山・天龍寺の天井画「雲竜図」を原寸サイズで会場天井に再現します。加山又造の世界観を現在の技で表現します。
巨大な天井画を再現
また、山梨県の身延山久遠寺の天井画に描かれた「墨龍」と同じサイズのプリント天井画が展示され、巨大なディスプレイに制作風景が映像で流されていました。この「墨龍」の制作手法はぜひご覧いただきたいです。
葛飾北斎さんの天井画「八方睨み鳳凰図」のような、かつての天井画は、肉筆で描いたのではないかと思いますが、「墨龍」は驚きの方法で描かれていました!
ちなみに、北斎さんが89歳にしてなお盛んな制作意欲をもっていたことを表す「八方睨み鳳凰図」は信州・小布施の岩松院にあり、実は娘である葛飾応為(かつしか おうい)さんが描いたともいわれ、その複製は、小布施の美術館「北斎館」で観ることができます。圧巻です。
身延山久遠寺の天井画の制作風景が巨大なディスプレーで観ることができる。
日本画家 加山又造は大の動物好き?
本展示では、加山又造さんの精神的な葛藤を通して、初期のころから後期にかけて作風が変化していく様子を端的に知ることができるような構成になっています。その中で、特に気になった点として、猫やキツネ、カラスといった動物が主題となった作品が展示されていることが挙げられます。
日本画において猫を描く際の特徴として、毛並み一本一本を丁寧に描く表現が挙げられます。
これは、重要文化財にもなっている、山種美術館所蔵の竹内栖鳳さんの『班猫』や菱田春草さんの『黒き猫』などをみるとよくわかります。
彼らに負けず劣らずの猫好きが炸裂した作品であり、下の猫のほか、茶猫、白黒猫の絵が展示されていました。3匹の猫のそれぞれ共通する特徴としては、大きな青い目です。
毛並み一本一本は丁寧に描き、遠くを見つめる目は大胆に大きい。目を凝らしてじっくり見ていたい作品でした。
動物好きであったと思われる加藤又造の描いた猫シリーズが3点展示されている。
又造が良く描いたとされる題材の一つ、カラス。そこはかとなく物憂げなカラスは、松本零士氏の「男おいどん」の「トリさん」にも似た風貌。