「オープン・スペース 2018 イン・トランジション」と音問題

初台のオペラシティにあるNTTインターコミュニケーション・センター [ICC]で、オープン・スペース 2018 イン・トランジションが2018年6月2日(土)—2019年3月10日(日)の期間で開催されています。


「オープン・スペース」展は,メディア・アート作品をはじめ,現代のメディア環境における多様な表現をとりあげ,幅広い観客層に向けて紹介する展覧会です.

デジタルテクノロジーと人間の関係性について、何か考えるという意図の展示会のようです。

会場には、いくつかのデジタル・アートが展示されており、そのほとんどが「体験型」になっています。

入口入ってすぐに、《自分の顔を探せ!》という作品があります。
自分の顔を撮影し、なんだか加工された状態で8顔くらい出てきて、そのうちのどれが本当の自分か(無加工の写真か)を当てるものだそうです。
使い方がよくわからず、動かなかったです。

《マシュマロ》という、モニターを介して、目の前の画面がぐにゅぐにゅ変形する作品があります。

白いマシュマロのような形をしたオブジェについたモニターを覗くと,まわりの風景や人が,まるで時間が行きつ戻りつするように変化したり,動いている人やものの形がゆがんだりして映っています.これはヴィデオ・カメラで撮影され,コンピュータに貯えられた映像の時間軸をリアルタイムに操作,変形したものです.

なるほど、難しいですね。

ほかにも、今はなき公衆電話の受話器を取ると、目の前のモニターに移されている複数の「電話が置いてあるシーン」のどこかに電話がかかるとか。
難しいですね・・・。

体験型とあるように、15~20分かけて、VRで何かを体験するものがありました。
15~20分て、長いですよ・・・。
3分で全体像が分かるくらいがよいのではないでしょうか・・・。

そのほかにも、映像と音がザリザリ鳴るものがありました。
耳が痛いよう。。。

さらに、四角い部屋前面に膨大な数の小型スピーカーが設置され、ひたすら電子信号が甲高くピーピー鳴る作品がありました。
いわゆるモスキート音発生装置?であり、普段から街中のモスキート音に悩まされている身としてはきつかったです。
しばらく耳鳴りがしましたよ。。。
(街中には、商業施設の出入口にネズミや害虫の侵入を防ぐために、モスキート音を発生させている場所が多く、直接的に鼓膜が振動し、「痛い」という感覚なのです。※決して、人間に対して不快音を発生させているわけではないと思います。)

という訳で、作家の皆さんが一生懸命考えた作品ばかりなのでしょうが、デジタルアートって難しいな!ということがわかりました。
全体的に、モスキート音があちこちで発生しているように感じました。

これまでは、視覚から訴えるアートが中心でしたが、これからは聴覚、嗅覚、触覚の五感に訴える作品が増えてくるのだと思います。
アートは「好き」と「嫌い」や「苦手」があってもよいものです。
視覚は「目をそらす」という鑑賞者主体の行動により「見たくないものを除外する」という選択することができますが、
その他の感覚は、そのような選択肢を選びにくいのだな、と気づきました。

「音」を使った作品が気を付けなければならない点は、必ずあると思います。
最近、ある国の複数の外交官が、変調マイクロ波によるマイクロ波聴覚効果を使った攻撃を受けた可能性があると報道されています。マイクロ波聴覚効果による攻撃では難聴のほか、脳損傷まで被害が発生するとあり、モスキート音も同様です。

そして、全く異なる視点ですが、どの作品も長いです。
全体が把握できるまで、映像を数分見る必要があり、どこが区切れ目か分からない(ことを狙っているのかもしれないけど)ので、
どのタイミングで何を評価すべき分からないまま、「長くなりそうだから、もういいや」となりやすいのでは、と感じます。

という訳で、人によっては高評価でもあるでしょうし、アートとは別の視点で、「どうなのかしら・・・」と感じるというのも、
アートの多様性が生み出している感覚なのでしょう。

 

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