平成の世もいよいよ今年が最後、来年から新しい年号となります。天皇陛下や皇族が乗る車には、トヨタのセンチュリー(ロイヤル)が使われていますが、エグゼクティブ用のハイヤーとして、センチュリーは人気の高い車です。そんなセンチュリーをプラモデルと現物を比較しながら、考察したいというのが今回の趣旨です。ほぼ、プラモデルの話で、製造方法について観察してみます。
今回、考察の対象とするセンチュリーのプラモデルは、青島文化教材社の「CENTURY VG45型 18インチローダウン」という、少々チンピラチックな逸品です。せっかくの上流品をローダウンとしてわざわざ発売してしまうのは、ユーザー(プラモデルの購入層)が、チンピラ層が多いということでしょうか。
プラモデルで使用されている素材は、さまざまありますが、トヨタセンチュリーのプラモデルで使用されている素材は以下の通りでしょうか。(間違いがあるかもしれません)
その他、全部の部品はこんな感じ。
アクセル、ブレーキ、フット(サイド)ブレーキがダッシュボードと一体化しているため、それぞれの細かい部品にも樹脂を通す必要が出ており、ゲートが5つという配置になっています。小さな部品はスプルから離れた位置に配置されることが多い。スプルから遠い場所に大きな部品が配置されると、樹脂の圧力が低下し、隅々まで均質に流れないためと考えられます。
スプルが配置されている位置。樹脂の流入ルートを想像すると、スプルからもっとも近いフロントガラス前面に樹脂が流入し、均質なフロントとなります。その後サイドガラスに樹脂が流入します。樹脂同士がぶつかる部分にはわずかな線(ウェルドライン)が見られますが、これを避けるため、スプルがこの位置に配置されていると思われます。
円形の凹みは組立時に見えなくなる部分に多くみられ、これは型に樹脂を注入したのち、その型から部品を取り外す際にノックピンと呼ばれる円柱型のピンで押し出す際に付く跡です。面積が広い部品の場合は大きな押し出しピンとなり、ピン跡は少なく、反対に小さな部品や複雑な形状の場合、ノックピンは小さく、多く配置される傾向にあります。
部品につくごく細いラインは、雄型、雌型の面の跡です。これらのラインは型を二分割する場合に必ず付くラインであるため、成型品の目立たない場所や分割しやすい平坦な面に配置されることが多くあります。
一方に穴が開いており、その接着面となる他方の部品には突起が付いています。これにより、接着時の位置合わせが容易となります。
前述とほぼ同じとなりますが、ボディへのワイパー接着は接着面が小さくなりますが、接着面積を大きくとるため、接着穴と突起が大き目に作られている。
接着面の強度を持たせるため、接着面を広くとることがあります。部品Fのガラス面については、フロント、サイド、バックを一体型とすることで、部品自体の強度を確保し、それを天井部分一面で接着することで、接着強度も増す設計となっています。これは透明部品の接着は、湿度等により白濁することがあり、見えない部分で接着面を確保することでこの問題を予め回避する狙いもあると考えられます。
次回は、実際に作って、鑑賞する回です。