戸栗美術館「青のある暮らし ―江戸を染める伊万里焼―」

青のある暮らし ―江戸を染める伊万里焼―

やきものの戸栗美術館と浮世絵の太田記念美術館(東京都渋谷区神宮前1-10-10)との初の連携企画展。共通展覧会名を『青のある暮らし』と題し、江戸時代の人々の暮らしを「青」という切り口から、各館の所蔵品を通じてご紹介いたします。相互入館割引や特別講演会に加え、東急百貨店本店(東京都渋谷区道玄坂2-24-1)との連携企画も開催。

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“染付”の伊万里焼が主役の連携企画展

今展は江戸時代に人々の生活を染め上げた「青」に注目した連携展覧会です。
やきものと浮世絵、それぞれの美術館が各々の所蔵品を通じて「青のある暮らし」をご紹介いたします。
江戸時代に大きく発展した佐賀・有田を中心とした地域で焼かれた伊万里焼。白い素地に柔らかい青色の文様をあらわした染付(そめつけ)が主力でした。同じく江戸時代にその技術が高まり、広く人々に広まった藍染めにちなんで、その呼び名がついたという染付は、時代ごとに表現に工夫を凝らし、青の趣を変化させながら発展していきます。
18世紀以降には江戸の庶民層にも磁器のうつわが浸透していき、人々の暮らしを彩ります。例えば、本作のような染付の手鉢は、料理を盛り付けるほか、水を張って盃洗として使用されていたようです。
戸栗美術館所蔵の青い伊万里焼から、江戸の暮らしを覗いてみてください。

江戸時代には染織技術が向上し、とくに藍染めが庶民に広まります。人々は暮らしのなかで浅葱(あさぎ)、縹(はなだ)、濃藍(こいあい)など濃淡様々な「青」を纏いました。同じく江戸時代に大きく発展した佐賀・有田の窯業に目を向けると、17世紀初めに誕生した日本初の国産磁器である伊万里焼の主力となったのは、白い素地に掛けられた透明な釉薬に柔らかくにじむ青色の文様をあらわした染付(そめつけ)。藍染めにちなんで、その呼び名がついたという染付は、時代ごとに表現に工夫を凝らし、青の趣を変化させながら発展していきました。

伊万里焼は、時代の流行を敏感にキャッチして新しいものを取り入れ続けたやきものです。なかでも、18世紀には需要層の拡大や食文化の発展などに伴い、染付の食器を中心に生産量が増加します。また、この頃から襖の引手や将棋駒など、金属や木材といった本来磁器以外の素材で作られる暮らしの道具を模した伊万里焼が登場。染付の伊万里焼は、江戸の生活を染める青色の一翼を担いました。

今展は太田記念美術館との連携企画展。共通展覧会名を『青のある暮らし』として、江戸時代の人々の暮らしを「青」という切り口から、各館の所蔵品を通じてご紹介いたします。戸栗美術館では、江戸の暮らしのシンボルカラーであった「青色」の伊万里焼をご堪能ください。東急百貨店本店との連携企画も開催。

昔も今も、豊かな食卓に欠かせない“うつわ”

17世紀初頭に佐賀・有田を中心とした地域で誕生したのが日本初の国産磁器である伊万里焼。大名など上流階級層を中心として使用されていましたが、18世紀には需要層が拡大し、さらに食文化の発展もあって、染付の食器を中心に生産量が増加します。
特に唐草文様のうつわは、生産効率の良さのほか、伸びやかで途切れない様子から永続的な吉祥を見いだして人々に親しまれました。本作は流行の唐草文を白抜きにあらわした蓋付碗。まるで藍染の白抜き文様のように、青地に映える白い唐草文は必見です。 当時、食器として主流であった漆など木製品に比べて、汚れがつきにくい磁器は染付の清潔な色彩と相俟って今もなお、食卓を彩っています。

“粋”な流行文様

19世紀の大皿料理の流行により、有田では意匠を凝らした大皿が作られます。その中には、当時流行の浮世絵の画題があらわされることも。歌川広重『東海道五十三次』の意匠を双六(すごろく)状にあらわした本作は、全体に濃い藍色の染付で仕上げられており、まるで藍摺りの浮世絵をみているかのようです。バランスの良い画面構成、一窓ずつ丁寧に描かれた風景からは、腕を振るう絵付け職人の姿が見えてくるようです。

“小洒落た”遊び心

食器が大半を占める伊万里焼の作例。しかし、暮らしを豊かに彩るものも作られています。18世紀には、本来漆や金工など異素材で作られる暮らしの道具を磁器製としたものが登場します。例えば、襖の引手。白と青の落ち着いた染付の磁器であるからこそ、住まいを静かに飾ったことでしょう。

同時開催 特別展示室「磁器誕生から100年の変遷」

創始期からの約100年間に作られた伊万里焼を年代順にその様式の特徴に沿ってご紹介いたします。

1階やきもの展示室「伊万里焼ができるまで」
伊万里焼の製作工程をご紹介いたします。

とぐりの学芸員講座

やきもの鑑賞をより楽しむためのポイントを当館学芸員がご紹介する講座です。
2019年9月2日(月)14:00~ 小西麻美(AM/学芸員)
「見どころ再発見!古伊万里の山水文の見方」
約90分、参加費1,000円(入館券を別途お求め下さい)。先着35名様。
お電話にてお申し込みください。(受付開始日時:6月10日(月)10時~ 03-3465-0070)

連携企画展 『青のある暮らし―着物・器・雑貨』

浮世絵専門の太田記念美術館が着物や食器、雑貨など、人々の身近にあった「青」の魅力について、浮世絵を通してご紹介します。
会期:2019年7月2日(火)~28日(日)
会場:太田記念美術館(東京都渋谷区神宮前1-10-10)
問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/

開催概要

青のある暮らし ―江戸を染める伊万里焼―

戸栗美術館
〒150-0046 東京都渋谷区松濤 1-11-3

■会期 2019年7月2日(火)~9月22日(日)
■開館時間 10:00~17:00(入館受付は16:30まで)
※毎週金曜は10:00~20:00(入館受付は19:30まで)
■休館日 第4週を除く月曜
※7月15日(月・祝)、8月12日(月・振休)、9月16日(月・祝)は開館。7月16日(火)、8月13日(火)、9月17日(火)は休館。
※第4月曜(7月22日・8月26日)は、展示室でお話ししながら ご鑑賞いただけるフリートークデーとして開館。
■7月19日(金)から9月1日(日)の間、小中学生は入館料無料。
■9月16日(月・祝/敬老の日)は、65歳以上の方は入館料無料。
受付にて年齢のわかるものをご提示ください。

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