原宿のアートギャラリー The Mass (ザ マス) が、グラフィックアーティスト Futura (フューチュラ) による個展「GENERATION Z」を11月16日(土)より開催する。
グラフィティというものが公のアートギャラリーに認められ始めた時代のパイオニアとして知られる Futura。1970年代、“サブウェイ・スクール” と呼ばれたニューヨークの地下鉄グラフィティシーンの中で独学でグラフィティを学び、これまでレター (文字) を基本としたルールが存在していたグラフィティにアブストラクトなスタイルを取り入れた独特な作風で注目を浴びた。同時代を生きた Jean-Michel Basquiat (ジャン=ミシェル・バスキア)、Keith Haring (キース・ヘリング)、そして Kenny Scharf (ケニー・シャーフ) とともに大きなアートムーブメントの立役者となった彼のグラフィティは、熟達した色彩感覚、幾何学的な構成、そして線といった特徴から、抽象絵画の先駆者として知られる Wassily Kandinsky (ワシリー・カディンスキー) の作品に例えられることも多い。
キャンバス、紙、彫刻、写真、グラフィックデザイン、そして大規模な壁画の中にはっきりと表現された Future の創造性は、動きのある構図、むき出しの質感、そして完全なる独創的な表現によって数十年もの間を経た今もなお、他にはない純粋な輝きを放ち続けている。これまで、ロサンゼルス現代美術館、ニューヨークにあるMoMA PS1、ニューミュージアム・オブ・コンテンポラリーアート、ロッテルダムのボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館、ファン・ギャラリーなど世界各国の主要な美術館にて展示され、2018年にはロサンゼルス、2019年にニューヨークにて開催されたビヨンド・ザ・ストリートにも出展した。さらには、コマーシャルアートやブランドとの共同プロジェクトも数多く参加。自身のアパレルブランドである FUTURA LABORATORIES (フューチュラ・ラボラトリーズ) をプロデュースするアーティストとして、Louis Vuitton (ルイ・ヴィトン)、COMME des GARÇONS (コム・デ・ギャルソン)、Chanel (シャネル)、Nike (ナイキ)、Off-White (オフホワイト) など多くのコラボレーションを発表し、グラフィティアーティストの枠に収まらない彼のスタイルは今もなお進化を続けている。
日本では約20年ぶりの開催となる本展では、4つの異なる彫刻作品や、今夏の日本滞在中に制作された27点のコミッションワークを展示。会場では、自身の息子であり13th Witness の名で知られるフォトグラファー、Timothy McGurr (ティモシ ー・マクガー) の作品も展示予定となっており、親子での合同展示は初の試みとなる。
およそ20年前の「COMMAND Z」の展覧会が開催されたのは2000年の始めであり、その時代に本展のタイトルとなる “ジェネレーションZ” 達が世に生み出された。Futura は自分自身の過去を振り返るとともに、未来を見ることも大事だと思っていると話し、作品制作について次のコメントを残している。「グラフィティは自分の存在意義を確認するためのものだった。自分の名前を世界中に知らしめたかった。名を轟かせたかったんだ。ただ諦めずに創り続けること。立ち止まらず、ひたすらに創り続けるんだ。」
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