天皇陛下の御即位を記念し、正倉院宝物を中心とした飛鳥・奈良時代の国際色豊かな造形文化に焦点を当てた特別展を開催します。本展は、正倉院宝物と法隆寺献納宝物という日本を代表する文化財が一堂に会する稀有な機会です。また、令和元年の本年にこそふさわしい、日本文化を世界に発信する展覧会です。皇室が守り伝えたかけがえのない日本の美、今後も受け継がれゆく悠久の美をご覧いただきます。
御即位記念特別展「正倉院の世界-皇室がまもり伝えた美-」
この展覧会では、皇室が守り伝えてきた正倉院宝物と法隆寺献納宝物を同時に公開します。両宝物は古代の東西交流の有り様を伝える、世界的にも貴重な文化遺産です。
正倉院宝物は、光明皇后が聖武天皇の御遺愛品をはじめとした品々を東大寺大仏に捧げられたことに由来し、およそ1260年にわたり守り継がれてきた世界的にも比類のない文化財です。わが国で製作された美術工芸品や文書類などのほか、「正倉院はシルクロードの終着点」と呼ばれるように、遠く大陸から持ち込まれた国際色豊かな品々が伝わります。それらは、奈良時代(8世紀)の日本の文化や技術の精華を示すとともに、文化と人々の東西交流を確かに示す証でもあります。
また、現在は東京国立博物館が所管する法隆寺献納宝物も、飛鳥・奈良時代(7~8世紀)を代表するものです。明治11年(1878)に法隆寺から皇室に献納され、昭和22年(1947)に国へ移管された宝物300件を指し、正倉院宝物と双璧をなす文化財です。両宝物をともに展示することで、正倉院宝物をとりまく造形文化の世界をより広い視野からご紹介します。
みどころ
皇室が守り伝えた正倉院宝物と法隆寺献納宝物の代表作を一挙公開!
天皇陛下御即位という御慶事ごけいじを記念し、皇室が守り伝えた正倉院宝物の代表作と法隆寺献納宝物を中心とした作品約110件から、正倉院宝物の世界を多角的に紹介します。
法隆寺献納宝物、正倉院宝物、夢の競演
わが国の7世紀美術を代表する法隆寺献納宝物と、8世紀美術を代表する正倉院宝物を同時公開します。漆胡瓶(正倉院宝物)と竜首水瓶(法隆寺献納宝物)など同じ用途のために製作された作品を並べて展示することで、時代や素材の異なるそれぞれの造形美の特色を間近にご覧いただきます。
約9000点の宝物を1260年以上にわたり伝えた「正倉院」を知り、そのスケールを体感する
1260年以上にわたり約9000点の宝物を守り伝えてきた正倉院宝庫。貴重な文化財を更なる未来に伝えるため、今なお行われる保存・修理・模造の取り組みにも注目します。また、会場内には一部原寸大で宝庫を再現し、雄大なスケールを体感いただくスペースも登場します。
展覧会構成
1章 聖武天皇と光明皇后ゆかりの宝物
天平勝宝8歳(756)6月21日。聖武天皇しょうむてんのうが崩御されて四十九日にあたるこの日、光明皇后こうみょうこうごうは天皇が早く盧遮那仏の世界「花蔵けぞうの宝刹ほうさつ」に安住されることを願って、東大寺の大仏(盧遮那仏)に天皇御遺愛の品々をはじめとする、六百数十点の宝物を献納されました。
この章ではその際の目録である『国家珍宝帳こっかちんぽうちょう』に記された宝物を中心として、聖武天皇と光明皇后ゆかりの品々をご紹介致します。
「国家の珍らしき宝」と称された、8世紀の我が国を代表する至宝の数々をご覧ください。
2章 華麗なる染織美術
正倉院の染織品は、法隆寺献納宝物の作品とともに世界最古の伝世品として知られています。
東大寺大仏の開眼会かいげんえや聖武天皇の一周忌法要においては、大量の幡ばんや天蓋てんがい、褥じょくなどが必要とされ、それらは儀式の後に東大寺へ納められ、現在は正倉院宝物として伝来しています。
この章では、正倉院を代表する作品が一堂に会します。天平文化を彩った華麗なる染織美術の世界をご覧ください。
3章 名香の世界
仏教の儀礼においては、貴重な香を焚いて仏に供養を行います。
東大寺の大仏開眼会かいげんえに代表される儀礼の場は、ふくよかな香りに満たされていたことでしょう。
この章では正倉院を代表する香木である黄熟香を中心として、法隆寺献納宝物として伝来する沈水香じんすいこうなどの香木、火舎かしゃや薫炉くんろといった香を焚くために用いる道具をご紹介いたします。
4章 正倉院の琵琶
正倉院は古代楽器の宝庫でもあります。
すでに現地では失われてしまった古代中国や朝鮮半島の楽器を伝えている点は、世界の音楽史上にも特筆すべきものでしょう。
なかでもとりわけ有名なのが華麗な装飾が施された琵琶です。
本章では正倉院の古代楽器を代表する二つの琵琶を中心として、本年完了した模造事業の成果もご紹介いたします。
天上世界の楽器ともいうべき、究極の造形美をご堪能ください。
5章 工芸美の共演
わが国の7世紀美術を代表する法隆寺献納宝物と8世紀美術を代表する正倉院宝物。
それぞれ聖徳太子と聖武天皇に由来する宝物には時間的な隔たりがあるものの、同じ用途のために製作された作品も含まれています。
本章では主に二つの宝物を同時に展示することで、飛鳥時代から奈良時代にかけて、作品の形がどのように変わっていったのか、また美意識の特色について見ていきます。
6章 宝物を守る
1260年以上の長きにわたり宝物を伝えてきた正倉院。
漆芸品や染織品など、脆弱ぜいじゃくな素材で作られた作品が現代に伝えられているのは、決して偶然のなせるわざではありません。
時の皇室による保護のもと、人から人へ守り伝えてきたことこそが、世界の文化史上にかけがえのない意義を持っています。
本章では明治以降本格化した正倉院宝物の調査と修復作業に焦点をあて、あわせて帝室博物館時代以来の東京国立博物館と正倉院のつながりもご紹介いたします。
開催概要
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展示会名
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会期
2019年10月14日(月・祝)〜11月24日(日) -
会場
東京国立博物館 平成館(上野公園)
〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9 -
開館時間
午前9時30分~午後5時
※金曜・土曜、11月3日(日・祝)、4日(月・休)は午後9時まで
※入館は閉館の30分前まで -
休館日
月曜日、11月5日(火)
※ただし10月14日(月・祝)と11月4日(月・休)は開館 -
主催
東京国立博物館、読売新聞社、NHK、NHKプロモーション -
協賛
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交通
JR上野駅公園口、鶯谷駅南口より徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、東京メトロ千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
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