先日、2018年の酷暑が始まるころ、「東京国立博物館」で開催されている特別展「縄文-1万年の美の鼓動(縄文展)」へ行ってきました。縄文時代は、約1万5,000年前(紀元前131世紀頃)から約2,300年前(紀元前4世紀頃)という長い期間、実に1万年近く続いた時代です。北海道から沖縄まで、東西3,000kmの列島に広がっていった、縄文の美について、一度に観ることができる展示会です。
縄文展の見どころ
縄文時代の遺跡は、これまでに9万件を超える数が確認されていますが、数多ある縄文時代の出土品のなかでも国宝はたったの6件しかありません。
本展示では、造形の極みともいえるこの6件すべてが、初めて勢ぞろいするのです。
ほとんどの方が、教科書で見たことあるような縄文土器・土偶がまさに目の前にあるのです!
特に、火焔型土器は各地で同じようなものが出土されていますが、なぜ新潟県十日町市のものが国宝となっているのでしょうか?
これについても、ちゃんと説明してくれています。
国宝となるには、そのものが古くて珍しいだけではだめで、詳細な調査過程の記録、文化的背景の考察などち密な資料の積み重ねによって、その存在意義が証明されていくようで、しっかりとした調査結果によって、「国宝」として指定されているのです。
縄文時代のカゴも残っていた!
縄文時代の遺物は焼き物しか残っていないと思っている方って、多いのではないでしょうか。
実は、木の皮で編んだカゴが残っているのです。しかも、中には「クルミ」も入っていたのです!
縄文時代の人々も、腰にカゴをぶら下げて、ドングリやクルミといった種子を拾って歩いていたようで、とても1万年以上の光景とは思えないですね。
重要文化財
木製編籠 縄文ポシェット青森県青森市 三内丸山遺跡出土
青森県教育委員会蔵(縄文時遊館保管)
写真:小川忠博
素材の特性を生かして作られた、美しさと温かみを感じさせる一品。 編物製品は丈夫で軽く扱いやすいため、さまざまな生活の場面で用いられた。 発見された時、中にはクルミが残っていた。
縄文時代に目を向けた人たち
近年、縄文時代がブームとなっています。現代に忘れられてしまったロハスな生活が良いのでしょうか。
今、多くの研究者が縄文時代の遺物に美を見出していますが、昭和の時代には等閑視されていたそうです。
昭和26年、当時の東京国立博物館で開催されていた特別展「日本古代文化展」で初めて縄文に触れ、衝撃を受けた岡本太郎は、「四次元との対話 縄文土器論」を発表し、それまで美術品として評価されることのなかった縄文土器に美を認めたと言われています。これによって、それまで日本美術史の始まりは飛鳥時代であったのですが、縄文まで引き上げられ、まさに歴史を動かしたと言えます。
また、民藝運動の創始者で日本民藝館の創設者である柳宗悦は、染色工芸家・芹沢銈介から土偶の寄贈を受けています。柳宗悦は、初めてこの岩偶をみた時「民藝館の全ての蔵品をこの一個に換えても良い」と激賞したと言われています。土偶をゲットした時の、柳宗悦のはしゃぎっぷりがうかがえます。
本展の面白いところは、縄文時代の土器にばかりフォーカスするのではなく、その背景や文化人と縄文の関係についても展示している点です。
岡本太郎、柳宗悦の他、川端康成も出てきますよ!
本展は他会場へは巡回いたしませんので、必ず期間内に観に行くことをお勧めします。
開催概要
開催期間 2018年7月3日(火)~9月2日(日)
開館時間 9:30~17:00
- ※金曜・土曜は午後9時まで、日曜および7月16日(月・祝)は午後6時まで
- ※入館は閉館の30分前まで
休館日
- 月曜日(ただし7月16日[月・祝]、8月13日[月]は開館)、7月17日(火)
〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
お問合せ 03-5777-8600(ハローダイヤル)
東京国立博物館ウェブサイト http://www.tnm.jp/
[ 交通案内 ]
JR上野駅公園口、鶯谷駅南口より徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、東京メトロ千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
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