アートとデザインの違いは何でしょうか。
一般的な回答としては、アート(芸術)は作家の自己表現の手法の一つであり、デザインは商業的な視点により「問題を解決する」手法の一つであるということではないでしょうか。
アートとデザインの違いは何か
以前、カチャカチャは、この違いを「量産が可能かどうか」という視点ではないかと考えていました。
これは、カチャカチャのプロダクトデザイナーとしての経験から由来します。
アート作品は1つしかない一方、デザインは元来「設計」そのものであり、量産が前提であります。
ところが、抽象画家のお友達に「アンディー・ウォーホールはどうなのか」と突っ込まれました。
ウォーホールは、マリリンモンローやキャンベルのスープ缶といった題材を独自の視点でグラフィック化したアメリカの画家・版画家・芸術家でポップアートの旗手です。
ウォーホールの作品は、版画で作られているものが多く、これは量産が可能です。
葛飾北斎など日本の浮世絵も版画です。
当時は、新聞と同じように一般大衆向けの量産品でしたが、現代社会においては、間違いなくアートの一種となっています。
グラフィックデザインでは、よく「美は細部に宿る」と言われます。
これはグラフィックデザインに限らず、プロダクトデザインやウェブデザインでも同様です。
デザインは、最終的なアウトプットをイメージしながら、ち密に積み上げていくものです。建築などが最たるものです。
とはいえ、同じ考え方はアートにも存在します。
ファインアートであれば、自身の描きたいものを生み出していく人もいれば、仕事としてこれをパトロンから受ける商業アーティストが存在したことも事実であり、これが今日ではアートとして十分評価されています。
アートは先天的?デザインは後天的?
アートは感覚的・感性的・先天的と思われがちですが、例えば遠近法一つとってみても、空気遠近法(前後の濃淡)、透視図法(手前から奥の大小)、色彩遠近法(色による前後感)がありますが、これは科学的かつ理論的であり、後天的に取得することが可能な技法であると思います。
この技術を応用したアート作品は世にごまんとあふれています。
このようなひとくくりに束ねることができないアートとデザインの視点ですが、「感性を生かす」という視点では概ね共通しているのではないかと思います。
ひょっとしたら、このアートの先天的感性と技術的な理論を応用し、商業的かつ問題解決手法的に展開したものがデザインなのかもしれません。
正直、この手の議論に正解はありませんので、あくまでカチャカチャの、現時点での考え方のひとつです。
このように「考えるきっかけがある」ということを気づかせてくれることが、アートとデザインの良さではないかと思います。
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