アートフェア東京2018

アートフェア東京2018

日本最大級の国際的なアートイベントである「アートフェア東京2018」(3/9(金)~3/11(日))が、東京国際フォーラムで開催されています。
出展者は、2016年157軒→2017年150軒、そして2018年が164件と、増加傾向にあります。

アートフェア東京2018には岡本太郎さんの作品もひっそりと展示されている

アートフェア東京2018には岡本太郎さんの作品もひっそりと展示されている(もうちょっと、お客さんの動線を考えて、マグネットとなるような位置に展示して欲しかったと感じる・・・)

アートフェア東京と同時に、天王洲アイルで「ASIAN ART AWARD2018」、汐留で「ART IN PARK HOTEL TOKYO 2018」、湯島で「3331 ART FAIR」が開催されており、まさに今の日本のアート市場を感じるにはとても良い期間だと思います。

アートフェア東京で配布されている会場マップには、現状の日本と世界のアート市場の報告も掲載されています。
これによると、日本のアート産業に関する市場規模は、全体としては3,270億円、そのうち、いわゆる「美術品の売買」が2,437億円と推計されています。

この3,270億円とは、どのくらいの規模か想像がつきますか?
売上高ベースで見ると、2013年ごろのニトリと同じ程度なんです。
2017年のニトリの売上高は5,130億円ですので、それと比べると、1産業全体が1企業に及ばないという点で、少々盛り上がりに欠けるんだなーとしょんぼりしてしまいます。
公式パンフレットでは、世界的には微減傾向にある美術市場の中、日本国内での市場規模は大きくはありませんが、維持をしているとレポートされています。

翻って、世界市場では、2014年に7.6兆円と記載があります。(アートフェア東京2018の公式パンフレットには7.6兆億円とありましたが、たぶん、7.6兆円、76,000億円と思います。)
このうち、アメリカ合衆国は世界市場の40%を占め、次いで英国21%、中国20%、フランス7%と続きます。
アメリカがアート市場に強いことは分かりますが、日本の1/2とされる英国(人口:6564万 (2016年)、GDP:2.619兆USD (2016年))、参考:日本(人口:1.27億 (2016年):、GDP:4.939兆USD)では1.2兆円の市場規模があります。
英国が20%を確保している点においては、英国のアートに対する国民の理解度の違いがあるかと思います。

もちろんこの市場規模を斜に構えて見ると、たぶん日本国内でメジャーな漫画やアニメ、ゲームなどは含まれていないと思います。わが国では、美術よりも、漫画やアニメ、ゲームに対する市場の方が多いことが推察され、ゲーム市場1.2兆円、アニメ1.2兆円に達しているそうです。(出所:経済産業省2017年7月27日

日本の3,270億円というアート市場規模のうち、実は洋画が556億円と最も高い規模を誇っています。
次いで陶芸が432億円だそうです。陶芸だったんですねぇと驚きがあります。
そして、日本画が364億円、現代美術(平面)364億円だそうです。
そのあとに続く工芸は162億円の市場規模と、一気に半減しています。
これを大きいと取るか、小さいと取るか、判断の分かれるところです。

また、これをさらにチャネル(販売のルート)別に表したものもレポートされています。
チャネル別には、やはり国内のギャラリーによる販売は全体の30%である726億円を占めており、日本のアート市場の大部分がギャラりにーに占められていることが分かります。
次いで百貨店が28%685億円とありますが、近年の百貨店の衰退ぶりからみると、ここがこの先伸びるとは考えにくいものです・・・。

日本国内のオークション市場は6%133億円とありますが、これにヤフオクなども含まれるのでしょうかね・・・。

そのような中、国内のアートフェアでは、5%の129億円を確保しているそうです!
昨年のアートフェア東京の出展者売上は総額24.5億円(推計)ですので、今回のアートフェア東京の国内市場シェアは19%とあり、かなり力のあるアートフェアであるということが分かります。

縮小しているとはいえ、家具業界と比較し、まだまだ市場規模が小さいということが、今の日本のアート市場です。
かつての日本では、「美術」とは言わなかったかもしれませんが、浮世絵や錦絵、歌舞伎などを受容していた過去があります。
今一度、このような人生の余白を楽しめる市場に光が当たるようになるといいなと思います。

次回は、このアートフェアで一番気になっていた「王冠型土器」という縄文土器について述べたいと思います。

 

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