AIアート時代の到来!人工知能の絵画が4,800万円で落札!

Edmond de Belamy

オークションハウス、クリスティーズで世界初となるAIによる絵画が出品され、予想価格の45倍となる4,800万円で落札されました。人工知能は次の芸術となりうるのでしょうか。

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AIの描いた絵、4,800万円で買いますか?

金の額縁に描かれたふっくらとした紳士は、服装から想像すると、おそらくフランス人で、教会の人だろうと思われます。その顔は不明瞭で、カンヴァスには所々空白もあり、未完成にも見えます。全体のバランスはわずかに左上へずれています。壁のラベルには、その座っている男の名前が、「Edmond Belamy」と記されていますし、右下のサインには、筆記体のガリア語で次のように書かれています。

Image © Obvious
Image © Obvious

この肖像画は、人間によって描かれたものではありません。この絵画は数多くの数式アルゴリズムで設計された人工知能によって描かれています。10月23~25日に開催されたクリスティーズのプリント&マルチプルオークションでは、このEdmond Belamyの肖像画が驚きの4,800万円で落札され、世界のオークション市場でAIアートの到来を印象付けました。

Portrait of Edmond Belamy, 2018, created by GAN (Generative Adversarial Network). Sold for $432,500 on 25 October at Christie’s in New York. Image © Obvious
Portrait of Edmond Belamy, 2018, created by GAN (Generative Adversarial Network).

Sold for $432,500 on 25 October at Christie’s in New York. Image © Obvious

AIアートの生みの親 Obvious

この絵画は、パリのObviousにより作成された、架空のBelamy一族を題材としたポートレートの一部です。Obviousは、GEN(generative adversarial network 敵対的生成ネットワーク:省力化しながらより多くのことを学習できるシステム)を使い、アートとAI間のインターフェースを探求しています。

ObviousのCaselles-Dupré氏は、「アルゴリズムは2つのパートで構成され、一つはジェネレータ(発生)、もう一つはディスクリミネータ(識別)である。我々は14世紀から20世紀にかけて描かれた15,000のポートレートに関するデータをシステムに与えた。ジェネレータは与えられたデータをもとに、新しいイメージを創り出し、ディスクリミネータが人が描いたものとジェネレータが描いたものを見分けさせた。目的はディスクリミネータに”生きた肖像画”だとだます目的があった。そして我々は結果を得た。」と述べています。

Edmond Belamyが描かれた中で、興味深い点の一つに18世紀肖像画のお作法からはずれている点があります。他のアーティストの作品を再現するGlenn Brownの作品に驚くほど類似しているのです。なぜでしょうか。

これは歪みによるものだそうです。ディスクリミネーターは顔や肩の形を認識しますが、まだまだ、人の目よりも騙されやすいのです。人間は、機械には出来ない、顔の輪郭や複雑さの認識に長けている一方で、肖像画はAIにとって非常にやっかいなジャンルでなのです。

この肖像画をAIが作成するにあたり、Obviousでは、有名な画家が描いたヌード画や風景画のデータをアルゴリズムに与えました。その結果、最善のロジックにより制作された肖像画を見ると、アルゴリズムが創造性を有するということを認識せざるを得ないのです。

AI業界とアート

AI業界内では、研究者たちはアート史に関するシミュレーションゲームを行っています。

ニュージャージー州ラトガース大学のアート・AI研究所のディレクターであるAhmed Elgammal氏はCAN(a ‘creative’ rather a ‘generative’ network)と呼ぶシステムを作っています。CANは新規性を生み出すために特別にプログラミングされており、14世紀からの絵画手法のデータからその違いを認識しています。

CANが生み出すのは抽象画が多く、描き出されるたびに驚きがあるそうです。

その理由は、CANのアルゴリズムはアートが歩んできた道筋を把握している、という点にあります。何か斬新な作品を作り出そうと思えば、20世紀以前の時代に戻り、具象的な表現をすることはできません。美術史は常に先に進んでいるのですから。

CANのネットワークは新規性として、抽象化に向かうことに解を見出しているのです。これは、AIアルゴリズムが単に絵を描くだけでなく、美術史の流れをくんだ作品を作る傾向にあるということを表しています。

具象概念から抽象概念へ続く半世紀にもわたる長い美術史の流れが、意識されることのないプログラムの一部であり、これまでに生み出された視覚文化が数学的な必然性に基づいているのかも・・・という興味深い感覚さえ起こさせます。

AI作はアートと呼べるのか?

とはいえ、AI研究者たちは、このことについては、まだ多くの主張をしていません。

AIによって生み出された「イメージ」をアートと呼ぶことができるのかという根本的な問題に取り組んでいるというのが実状です。

これを調べるために、チューリングテストという、人間による評価手法がありますが、こちらも実施されているようです。人間によるアート作品とAIによる作品を並べ、「どちらが人間、またはAIにより制作された絵画か?」という質問をしたところ、わずかな差しかなかったようです。

もちろん、何人かは、正確にAIによる作品を指し示すことができる人もいました。

では、これをもって、AIアルゴリズムはアートを作り出す能力があると判断して良いものでしょうか?もし、アートがAIの審美的な意図に基づいて制作されているのであれば、「できる」と判断することもできます。でも、アートとは、より広い世界に向けて、自分の感性や熱望・不安感、気持ちなどを表現する試みであると定義するのであれば、それは、「決してできない」とも言えます。

AIは絵を描きたいという衝動は持ち合わせておらず、AIがそんな感情を持つということは、今のところSFの世界の中だけです。

AIアートの未来予想図は?

ところで、AIが描いた絵の著作権はどうなるのでしょうか?AIの絵には、それっぽいサインが記されています。Caselles-Dupré氏は、もし、著作権が絵を描いたアーティスに帰属するのであればAIであるし、そのメッセージを共有したいという思いを持つ者であるとすれば、Obviousであると考えているようです。

アートとは何ぞ?ということを抜きに考えれば、AIは既存のアートから抽出された美的原則を視覚化したに過ぎません。しかし、制作された過程全体から見ると、肖像画という伝統的絵画というよりもコンセプチュアル・アートとも言えます。最後に出てくるもの(作品)だけではなく、そのすべての過程こそ芸術というもの)なのです。人間と機械によるコラボレーションと言うこともできるでしょう。将来、AIがアートの新しい「メディウム」になると感じさせますよね。

AIは未来のアート市場にインパクトを与える技術の1つですが、これがどのように発展していくのかが、とても楽しみです。2018年の初めには、クリスティーズでは、アーティストとコレクターのためのブロックチェーンに関するシンポジウムを開催しています。このような技術的なカンファレンスは毎年開催されるようで、AIは中心的なトピックになることは間違いないでしょう。10年から20年先には、ヴァーチャルリアリティによるアートパフォーマンスについて議論されたり、ロボットピカソが出てきたりするかもしれません。

Christie’s

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