国立美術館のアート作品の購入額

国立美術館の入場料収入比較

(独)国立美術館では、5つの美術館を運営していますが、それぞれの美術館の「入館料」による収益はどの程度なのでしょうか。
国立美術館の収益は、国からの運営費交付金や補助金が中心で、展示会などを開催して得られる入場料による収入があります。
これは「展示事業収入」という項目で計上されています。

 

国立美術館の入場料収入比較

国立美術館の入場料収入比較

展示事業収益が圧倒的に多いのは国立新美術館です。
これは、入場料のほかに、会場の貸出賃料なども含まれているためです。
公募展の団体数が69団体で、稼働率が100%という驚異的な利用状況ですね。

公募展団体数:計 69 団体
年間利用室数:延べ 3,500 室/年
稼働率:100%(目標:100%)
入館者数:1,200,190 人

また、平成27年度から平成28年度にかけて、国立西洋美術館が2.5倍程度の収益増となっています。
これ、民間企業でしたら、部長に褒められるくらいの頑張りっぷりです。
その理由は何でしょう?

実はこれ、ちゃんと「平成28年度業務実績報告書」に記載されています。
世界文化遺産登録による入館者増ということです。
また、国立西洋美術館の本館は、20世紀を代表する建築家のひとりであるフランス人建築家ル・コルビュジエ(1887-1965)の設計によるものであり、この企画展を催したことも功を奏したようです。

国立西洋美術館本館の世界文化遺産登録の効果により所蔵作品展の入館者が著しく増加し,
総数では例年の約 2 倍,有料入館者数は例年の約 4 倍に達した。世界文化遺産に登録された本
館に焦点をあてた小企画「ル・コルビュジエと無限成長美術館―その理念を知ろう―」を開催
し,松方コレクションの寄贈返還に伴う美術館設立の経緯,ル・コルビュジエ建築の理念,そ
してプロトタイプ無限成長美術館を基に設計された本館の特徴を紹介した。
また,多数の参加者が見込まれる「建築ツアー」は開催回数を月 2 回から 4 回に増やすなど
の対応を行った。

平成28年度業務実績報告書 より

美術館というものは、アート作品の展示のほか、収蔵という役割を担っています。
毎年、少しずつ、世界各国から収蔵するに値するアート作品を購入し、これを保存(維持・修復)し、次世代へ承継していくのです。
さて、それでは国立美術館は平成28年度中に、どのくらいのアート作品を購入したのでしょうか。

5美術館で529点のアート作品を、29.6億円かけて収集しました。
これは、前年度の平成27年度と比べ、若干減っています。
参考までに、前年度は、901点を33.1憶円で収集しています。

平成28年のアート購入の目玉は以下の通りです。
パウル・クレーの作品を買ったんですねー。

  1. スイスの画家パウル・クレーの油彩 1 点
  2. 昭和戦前期に独自の存在感をもった作品を描いた靉光の油彩1 点
  3. 1930 年代に日本とアメリカを往復しながら都会生活の哀歓を描いた野田英夫の代表作 1 点
  4. 1960 年代のいわゆる反芸術的傾向を代表する作家である赤瀬川原平の作品 3 点
  5. コンセプチュアル・アートの第一人者として国際的に活躍した河原温の作品 54 点
  6. 1900 年前後のアメリカで刊行されたカメラ雑誌『カメラ・ノーツ』に収載された写真作品 44 点など

そして、さらに参考までに、海外では毎年のコレクション収集額はどれほどなのかが気になりますね。
ニューヨークのメトロポリタン美術館のアート購入額(Acquisitions of Art)は、2016年が62,515,000USD(7,000億円/107円換算)、2017年が28,035,000USD(3,000億円/107円換算)とずいぶん差があるようです。

我々が国立美術館でアート作品を見ることができるのは、限られた予算の中で、アートを購入したり、企画展を考える方がいるおかげなんだな、と改めて実感した次第です。

そういえば、印象派の画家クロード・モネの代表作『睡蓮(すいれん)』のなかで行方不明となっていた『睡蓮―柳の反映』が、仏・パリのルーヴル美術館で破損した状態で発見されたことを発表したそうです。
TVで見ましたが、絵の上部が丸ごとはがれているなど、ずいぶん損傷しています。
4月から修復処置を行い、2019年には公開される予定だそうです。

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