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映画「バンクシーを盗んだ男」

世界各国でゲリラ的に社会風刺的なグラフィティーアートを作成する覆面アーティスト、バンクシー。
グラフィティーアート、ストリートアートですので、壁に描かれることが多いのですが、そんなバンクシーの作品を盗んで、オークションにまで出品してしまった人がいるのです。そんな経緯を映画にしたのが、”THE MAN WHO STOLE BANKSY”(「バンクシーを盗んだ男」)です。

2007年、世界的に有名なアーティスト、バンクシーはパレスチナへ旅立ち、各地の壁や建物に政治的なイラストを描きました。このような活動を歓迎する人々がいる一方で、現地の人の中には、これを快く思わない人もいれば、ビジネスチャンスと考える人もいます。
特に、ボディービルダーであり、タクシー運転手でもあるWalidは、ある試みを思いつきました。
作品が描かれた壁を切り取り、オークションで高く売ってやろうと考えたのです。

Marco Proserpio監督の The Man Who Stole Banksyは、「非合法的」に作られた作品が盗まれ、これが「合法的」にコレクションされるという社会的矛盾を描き出した挑戦的な物語です。
バンクシーの作品を通し、観客は世界中から盗まれた壁を秘密裏に捌くマーケットの存在に気が付くことになります。

これは、ストリートアートが公共の場所から盗まれ、商品化され、中東の政治情勢が西洋のアートマーケットにどのような影響を与えるかについて、スタイリッシュに問いかける作品だそうです。

この盗まれたアート作品は、”Donkey Documents”と名付けられたものです。世界で最も政治情勢が不安定なパレスチナのヨルダン川西岸地区南部のベツレヘムの”壁”に、エアゾルスプレーで描かれたもので、サイズは3.2×2.0mとそれなりに大きなサイズです。

デンマークのMultiplesInc Projectsが所有し、スウェーデンのMalmoe, Kicking Galleryに展示されています。

物議をかもしたこの作品には、ロバが描かれ、ロバの持つ「紙」を、武装したイスラエル兵のチェックを受けています。
イスラエル政府が強行した安全保障措置を嘲笑する意味が込められているそうです。
アリの一匹も通さない、といったところでしょうか。
このような皮肉を込めた作品がバンクシーの味ですが、イスラエルとパレスチナの地域的には、一方で歓迎され、他方ではそうではないという状況を引き起こします。この絵がパレスチナで反感を呼び、怒った地元住民が壁面を切り取ってオークションへかけてしまうというストーリーです。

この作品は、イスラエルとパレスチナ西岸を分断している壁に描かれたシリーズの一つで、慈善事業の資金集めの展示会である”Santa´s Ghetto”をプロモーションするために描かれました。
この作品が描かれた際、バンクシーの公式ウェブサイトでも掲載されました。

バンクシーの作品のほとんどは返還されていますが、この作品は異なります。
コンクリートの壁に描かれた直後に、「切り取られ」たのです。
切り取り前、切り取り中、切り取り後が6時間にわたり撮影されたそうです。
切り取る際に使われたチェーンソーには、冷却用のクーラントが装着されていたそうで、よほど気合が入っていたのでしょう。
(チェーンソーでコンクリートを切ると、チェーンに熱がこもり、チェーンが破断してしまうため)

この作品の予想価格は$600,000 (£380,000) とされていましたが、実際はいくらになったのでしょうか!

劇場公開日は2018年8月4日です。

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