青森県には、奈良美智さん作の巨大な犬の立体像「あおもり犬」が設置された「青森県立美術館」があります。広大な敷地の木々を背景に建つ真っ白な外観の美術館は、「三内丸山縄文遺跡」のすぐ近くということもあり、発掘現場から着想を得て、設計されたようです。
シャガールは絵画だけじゃない、陶器や彫刻も
現在、青森県立美術館では、「シャガール – 三次元の世界 Marc Chagall: The Third Dimension」展が開催されています。
シャガール(1887年 – 1985年)はロシア(現ベラルーシ)出身の画家で、愛妻ベラと自身の愛を描いた作風で知られています。
そんなシャガールですが、絵だけはなく、陶器や彫刻といった立体作品やバレエ「アレコ」の背景画制作など、多方面で精力的に活動をしたようです。
この青森県立美術館の高さ20mの大ホールには、この「アレコ」で使われた背景画が展示されており、そのサイズ感に圧倒されます。
さらに、大ホールの4面すべてに展示されているのです!でかい!
この展示会は、シャガール家やフランスの「国立マルク・シャガール美術館」などの協力を得て、国内外から約170点の秀作を集めています。
その収蔵元は、ほかにも、「AOKIホールディングス」や「ポーラ美術館」、「名古屋市美術館」、そして大半は個人の収蔵品です。
国立マルク・シャガール美術館が開催した展覧会「シャガール彫刻展」(2017年5月27日-8月28日)に企画協力していることもあり、すべての手配をこちらで行ったわけではないのでしょうが、作品数は圧巻です。
なんとなく170点とはピンときませんが、シャガールの魅力的な美しい色彩の変化を一つ一つ作品から感じ取りながら観ると、ゆうに2時間はかかってしまいます。
シャガール展の構成
会場は主に8つのブロックで構成されています。
特に、「初期から後期に至る絵画の傑作の数々にシャガールの三次元的な関心を探るとともに、陶器や石彫、ブロンズ像などの立体作品をかつてない規模で展示しながら、その彫刻家としての一面に光を当てます。」とあるように、シャガールのあの独特の絵画スタイルで表現された彩色陶器の壺(?)は、よくこのような色彩が出せるもんだと感心します。
- 「絵画から彫刻へ」…《誕生日》をめぐって、「空間への意識」…アヴァンギャルドの影響
- 「穿たれた形」…陶器における探求
- 「平面と立体の境界」…素材とヴォリューム
- 「平面と立体の境界」…聖なる主題
- 「立体への志向」…動物モチーフ、肖像、二重肖像、重なり合うかたち
- 「立体への志向」…垂直性
- 「劇場の仕事と三次元の世界」
- アレコホールに展示された背景画(常設)
バレエ『アレコ』のための背景画第3幕《ある夏の午後の麦畑》は、アメリカのフィラデルフィア美術館に収蔵されていますが、同館のご厚意により長期借用が認められ、2020年までの予定で特別に展示しています。当館での『アレコ』背景画全4点の展示は、2006年の開館記念で開催された「シャガール『アレコ』とアメリカ亡命時代」展依頼です。『アレコ』背景画全4点が揃ったこの貴重な機会に、ぜひアレコホールの巨大空間の魅力をお楽しみください。
青森県立美術館「シャガール – 三次元の世界 Marc Chagall: The Third Dimension」展
会期: 2018年3月10日(土)~ 5月6日(日)
休館日: 3月26日(月)、4月9日(月)
開館時間: 9:30 – 17:00 (入館は16:30まで)
観覧料
一般 1,500円(1,300円)
高大生 1,000円(800円)
小中学生無料
※( )は前売券及び20名以上の団体料金
常設の作品 青森犬
そのほかの常設コレクションですが、もっとも有名なものは、青森県弘前市出身の奈良美智さんの作品「あおもり犬」でしょうか。
海外からの観光客の方々が、ひたすら写真を撮り続けていましたが、奈良美智さんの海外での人気ぶりを垣間見ることができますね。
≪アオモリ・ヒュッテ1≫
ミクストメディア
2016年©Yoshitomo Nara
近くの特別史跡「三内丸山縄文遺跡」
青森県立美術館のすぐ近く、歩いて5分程度の場所に、日本最大級の縄文集落跡である特別史跡「三内丸山(さんないまるやま)遺跡」(平成12年11月に国特別史跡に指定)があります。今から約5500年前~4000年前の縄文時代の集落跡で、長期間にわたって定住生活が営まれていました。
竪穴住居5棟、大型竪穴住居(ロングハウス)1棟、高床建物3棟、大型掘立柱建物1棟の建物が復元され、縄文時代にタイムスリップできる素敵空間です。
また、同じ敷地内の「縄文時遊館」では、重要文化財の土器などが展示されています。
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