デザイン家電の見本市!「ライフスタイル総合EXPO」

ここ数年は国内大手白物家電会社の統廃合が進みながらも、メーカーとしての参入障壁が比較して低下している感がありますが、すっかり空前絶後のデザイン家電ブームとなっています。日本の、世界の家電はどのような未来に進んでいくのでしょうか。そんな本の少し先の家電を一堂に見ることができる展示会「第13回 国際ライフスタイル総合EXPO 夏」が2018年7月4日(水)~6日(金)の期間で開催されます。

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国際ライフスタイル総合EXPOとは

「国際ライフスタイル総合EXPO」とは、かつて「GIFTEX(ギフテックス)」と呼ばれ、リード エグジビション ジャパン(株)が主催する雑貨・インテリアなど生活関連商材のB to B 商談会の発展形で「国際展示場」で開催されます。今回は「雑貨EXPO」と同時開催ということもあり、年々出店企業が増えてきている展示会です。

リード・エグゼビジョン・ジャパン(以下、リード社)は、1986年に設立された国内最大級のイベント企画会社で、2017年の売上高は243億4千万円を誇ります。リード社は244件の展示会を主催しており、その中には「DESIGN TOKYO -国際デザイン製品展- 【夏】」や「国際 インテリア&家具EXPO 【夏】」、「【国際】 文具・紙製品展」など、多様な展示会が含まれています。コンパクトでありながらも、関連する業界(例:生活関連商材)に近い商材を扱う展示会を同日開催することで、展示会としての専門性を保ちながらも、来場者が気軽に全く新しい分野の商材にアクセスすることを促し、かつ主催者として、大会場を1つの展示会で埋める困難さを回避することができ、出展者、来場者、主催者にとって、三方よしの開催手法が特徴です。

見どころ

今回の見どころは、デザイン家電特集ですが、その中でも特に気になったものは、室内空間を彩るデジタルサイネージの進化系でもあるデジタルウィンドウです。個人的に、以前からデジタルサイネージに興味があり、その技術やコンテンツの進展について観察していますが、いよいよ家庭にもそれが普及するのか、というものです。

デジタルサイネージは、数年前まではLEDのドットをスクロール表示するものが多かったのですが、最近はより高彩度なディスプレーを使い、特にコンテンツ(表示するものや情報)にこだわった製品が増えています。例を挙げれば、山手線の車内の中づり広告がなくなり、モニターで映像を流していますね。

デジタルサイネージの面白い点は、ディスプレーというハードな商材だけで成立するものではなく、コンテンツというソフトが充実していないと成立しないという点です。そして、このコンテンツはハードが存在する限り、常にアップデートし続けなければならない(なぜなら、飽きてしまうから)こともあり、「売って終わり」ではなく、定期的な「月額●円で新コンテンツを配信!」のように、企業にとって安定収入の源となるのです。

デザイン的に見ると、ハード面はただのディスプレーであるため、何ら創意工夫は必要ありません。ですので、表示するコンテンツの質が購入意欲を左右することになります。デジタルサイネージを使った家庭用ディスプレーとしては、以前から世界の名画をデジタルサイネージで表示するというスタートアップもありましたが、今回の提案商材は、その「風景画」版です。画ですが、映像ですので、実際は動画配信が含まれます。

世界とつながるデジタルな窓。 部屋にAtmoph Windowを。
壁やデスクに置くだけで、数百カ所の世界の風景が楽しめるAtmoph Window。4K映像とサウンドは全てオリジナルです。

ブランド名: アトモフ
ブランド国名: 日本
上代(税抜): 69,800 円
発注単位: 1
製品カテゴリー:
インテリア雑貨 インテリア家電
デザイン製品 インテリア・家具 家電・スマートフォングッズ

デジタルサイネージの今後の普及予想

デジタルサイネージのハード面での技術革新は必ず「ペーパー化」すると思われます。有機ELを使った壁掛けペーパーディスプレーは2015年にLG電子から発表されており、技術的な問題では解決されており、価格的な問題が残るのみです。また、ワイヤレス充電の技術も徐々に開発されており、将来的には、壁に貼った電子紙モニタをワイヤレスで充電しながら、映像を見るということが、さほど遠くない未来で実現されると思います。

このような先進技術は、発売当初は高額であるものの、5年もすればどこでも生産が可能な技術として陳腐化するため、10年先には家庭にも数万円で購入できる価格で普及するのではないかと思われます。

その際に「家庭用ペーパーディスプレー」が選ばれる基準は、TVやウェブ、ネット配信は当然のこと、オプショナルコンテンツとして、「風景」や「アート」を展示するということに長けている方が選択されやすいと考えます。家庭用ですので、価格帯としてはTVも兼ねて3~5万円程度ですが、携帯電話の契約とセット化することで、月額980円程度でのコンテンツ配信とすれば、年商数十億円にはなると推計され、先を見通すと、コンテンツ開発会社に投資しておくのが良いのだろうと思います。(適当な計算として、50万人程度の契約とした場合)(参考:総務省 携帯電話契約件数1億7,098万件(平成29年度第3四半期(12月末)

最近気になるデザイン家電メーカー

すっかり、デジタルサイネージだけの話になりましたが、本来はデザイン家電の話でしたので、元に戻しますと、最近気になるデザイン家電メーカーは以下の通りです。有名どころばっかりです。

バルミューダ

バルミューダ」は2003年に東京で設立されたクリエイティブとテクノロジーの会社です。従業員数85人(2017年10月現在)と決して大きな会社ではありませんが、「かっこういい製品を作る!」という思いで作られる数々の家電は、クールで新しい使い方の提案が含まれた製品が多く、代表的な製品はトースターであり、発売当初は入手困難なアイテムでした。

キッチンを楽しくするオーブンレンジ

その思いの通り、日本国内では「GOOD DESIGN」を数多く受賞しているほか、海外ではドイツのデザイン・アワードを受賞するなど徐々に世界へ進出しつつあります。

プロダクトデザインの先生が、「知人が吉祥寺でLED照明作ってるわー」と言っていましたが、今思えば、バルミューダのことなんでしょうかね。

今後の家電では、先の「ペーパーディスプレー」に加え、確実に「空気清浄機」と「自動掃除機」が普及しますので、バルミューダ視点の新たなソリューションを待ちたいですね!

amadana

amadana(アマダナ)は、熊本浩志が代表取締役社長を務めるデザイン家電ブランド及びその会社名です。

ブランド名のamadana(アマダナ)は、「日本の家電を東京から再び世界ブランドへ」の思いを込められており、江戸時代、漆問屋が多く集まった江戸のいち界隈を総称して「尼店(アマダナ)」と呼ばれていたことに由来します。

陶器がチャイナと呼ばれたように、かつてヨーロッパの上流階級では漆器のことをジャパンと読んで珍重していました。漆器とは日本古代期から数千年にわたって磨かれてきた様々な生活道具であり、日本人特有の生活様式と美意識とテクノロジーが掛け合わさって生まれた文化だといえます。
amadanaのモノづくりの礎は、まさに、この三者が掛け合わさって生まれたものです。派手ではなく深みのある美しさ、それでいて斬新な存在感を持つデザインと質感。それは、漆器が持つ「伝統と常なる革新の融合」という美的ポリシーと共通しています。

とあるように、美的ポリシーということが最大のコンセプトとなります。代表的な製品には電話機を挙げたいと思います。かつて「おしゃれな固定電話」を探していた時、最もクールだったのが、このamadanaの電話機だったのです。もちろん、この他にも優良なデザイン家電としては、オーブントースターがあります。

コードレス電話機 PT-408

コードレス電話機

 


オーブントースター(ヨコ型)(ブラック)  ATT-W21-K
定価 10,800 円(税込)

muji

株式会社良品計画」が運営する「無印良品」のなかでも、際立って社会的な衝撃を与えた製品は「ムジの家電」ではないでしょうか。かつては生活関連商材を、あまりデザインしないで作ろう、というコンセプトのもと、「株式会社西友」のPB商品「無印良品」でスタートしています。

今ではすっかり「IDEE」も傘下に抑え、「無印良品の家」や「Café&Meal MUJI」など、衣食住の生活そのものを支える企業として成長しています。

無印良品の家電は、世界的にも著名なプロダクトデザイナーでもある深澤直人氏がプロダクトの開発とデザインに携わっています。深澤直人氏は2005年に「武蔵野美術大学」造形学部基礎デザイン学科研究室教授に就任、2012年には五代目となる「日本民藝館」の館長に就任、2014年からは、オリンピックロゴで炎上してしまいましたが、「多摩美術大学」の美術学部統合デザイン学科教授を務めています。

ブランドという視点では、「±0(プラスマイナスゼロ)」というブランドでも、深澤直人氏は活躍されています。

キーワードのひとつとして、「MUJI is enough」という言葉があります。これは「MUJIでいい」という言葉です。例えば、「こういうものが欲しい」とイメージを持って、あちこちの店を歩いたけれども、欲しいものが見つからなかった。最後にMUJIの店に行ってみたら、「こんなものがあったんだ。思った通りのものがあった」という時に、「これでいいじゃないか」という思いを持つことです。(~中略~)本当に細かな、生活のすべてに対してマイクロコンシダレーションがなされていると思います。

出所:「無印良品とクリエイター 深澤直人 | 無印良品 – Muji

今では音楽を聴く手段としては、スマートフォンを使い、ダウンロードやストリーミングを使うことが多いと思いますが、ほんの数年前まではCD中心であり、CDに埃(ほこり)は厳禁であるため、家電メーカー各社が発売する商品は、しっかりと「密閉された」再生機が主体でした。このような環境の中、CDがむき出しでグルグル回り、まるで換気扇のようなデザインのCDプレーヤーはかなり衝撃的でした。しかも、こんなコンパクトなサイズの中にスピーカーまで内蔵されており、ヒモを引いてスタート&ストップというシンプル操作方法という挑戦は大手家電メーカーでは決してできない試みであったと想像します。

デザイン家電は、気づかない間に、世界的なうねりと共に大きく変化しています。
この次の世代の家電がどのようにデザインされていくかを見るための一つの手段として、「ライフスタイル総合EXPO」に行くのも良いですね。

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