雑誌『MdN』、休刊するってよ

雑誌『MdN』休刊のお知らせ

本日2019年1月10日、MdN編集長より雑誌『MdN』が休刊する旨、発表されました。
創刊から約30年にわたり、日本のメディア・デザインをけん引してきた雑誌ということもあり、時代の流れというものを感じさせます。

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日本のデザイン史を作った『MdN』

カチャカチャも、数年前までは毎月購入し、グラフィックデザイン、ウェブデザインなどの先進クリエイティブ・デザインの情報源として活用していました。

1989年の創刊以来、皆様に並々ならぬご支援を頂戴してまいりました『MdN』でございますが、4月号(3月6日売り)を持ちまして休刊させていただくことになりました。

デザイン専門総合雑誌として、創刊以来一貫してクリエイティブ業界の方々が必要とする最新情報をお届けしてまいりましたが、月刊での刊行ペース、そして2019年2月号(1月5日売り)からの隔月刊行ペースで、読者のニーズに適した情報を深度やスピード感のバランスを見ながらお届けすることが難しいと判断致しました。そこで紙媒体としてのMdNはその役割を終え、新たにWebメディアとして展開していくこととなりました。

発行から29年もの期間、多大なるご支援とご声援をいただきましたことを、この場を借りまして厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。 今後はWebメディアとして、いままでに変わらぬご愛顧とご支援をいただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

紙媒体の情報源がウェブに取って変わられることは当然の流れですが、一生懸命、紙系デザインを勉強してきた身としては時代の終焉を感じざるを得ません。
今となってはウェブデザインが情報伝達の主たる方法ですが、かつてはざっくりと口伝→絵画→活版というように、伝達手法が開発されてきました。伝える技術がデザインそのものにあるということを、我が国において普及したというMdN誌の功績は大きく、当雑誌にお世話になったデザイン関係の方々は多いのではないでしょうか。

とはいえ、永遠のお別れではなく、ちゃんとウェブに移行しています。印刷し、発送し、店頭で販売し利益を得るというビジネスモデルがすでに厳しいものになっているため、ウェブ媒体を通してデザイン情報を発信していくのです。

MdNが伝えたい「紙媒体」の影響力

そんな本日の記事はとても興味深いものだと思います。

【Webデザイナーの知らない世界】紙の表現力と付加価値を再考 『紙』の可能性を探る、表現媒体としての「紙ならでは」の魅力とは?

現代を「Web全盛期」と呼んでいいのかどうかはわからないが、歴史上長らく情報伝達の中心的役割を果たしてきた「紙」から初めて主役の座を奪ったという意味ではそう呼んで差し支えないだろう。Webコンテンツのアビリティが紙媒体(印刷媒体)のそれを上回ったのはかなり昔のことだ。Webは紙媒体に対して即時性や双方向性、さらに動画・音声などのマルチメディアコンテンツが使える点など多くのアドバンテージがある。書籍・雑誌類はもちろん、チラシなどの商業コンテンツもWebへと軸足を移してきた。しかし、情報伝達手段としての主役の座をWebに奪われようと「紙にはWebには決して負けない表現力や付加価値がある」という人物がいる。株式会社河内屋という印刷会社の國澤良祐代表だ。

この中で、紙媒体のメリットについて、以下の3点が上げられています。

・物理特性(質感・重量・手触り・立体造形力など)
・媒体力
・社会に定着しているコミュニケーション慣習

媒体性やコミュニケーション慣性は別として、やはり物理的特性という点は大いに同意できます。これまでの歴史において、「本」が伝達してきたものは情報のみならず、質感・重量・手触り・立体造形力に他なりません。これにより装丁という製本技術は発達し、上質な製本技術による書物を所有する者の社会的地位が保たれてきたという側面があります。

この先の紙媒体のあり方とは?

元プロダクトデザイナーとしては、見た目(アピアランス:表面)のデザインに加え、「質感・重量・手触り・立体造形力」が五感に与える影響を実感しています。

紙媒体においては、その紙の厚み、硬さという触覚に加え、紙に印刷された香りという嗅覚にも訴えるものを持っています。残念ながらウェブへの移行が進むと、そのような触覚・嗅覚へのアプローチはなくなってしまい、これにより欠落する私たちの感性はきっと出てくるのだと思います。

しかしながら、ウェブ・デザインのように、インタラクティブなコミュニケーションがもたらす感性の向上(さらなる創造性の進展)がある事実も否めません。さらには、ウェブ・マーケティングでは静的コンテンツ主体のウェブ・サイトによる広告収入と同様に、ユーチューブのような動的コンテンツによる収入が多くの支持を集めていることからもウェブ業界の中でも、イノベーションが起こっているのです。

ひょっとしたら、日本だけなのかもしれませんが、最近の「手帳ブーム」を見てください。デジタルが普及し、物が売れない時代であっても、10年前よりも、「アナログな記録用紙」である手帳の売り場面積が増えていませんか?
私たちは「紙」を求めているのではないでしょうか。紙を通じ、書き、伝えることを求めているのです。何となく、それが落ち着くのです。これが先に出てきた「社会に定着しているコミュニケーション慣習」なのだと思います。

情報伝達を主たる目的とした紙媒体がその役目を次に譲ることを止めることはできないのでしょうが、アートに触れるように心身を豊かにしてくれるようなペーパー・コミュニケーションが発達することを期待したいです。

 

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