バンクシーのスライスアートで新たな価値を注入!

Banksy’s Girl with Balloon self-destructed just as the final hammer signaled the end of an evening of auctions in London.

10月5日、イギリスの覆面アーティスト、Banksy(バンクシー)の代表作である《Girl with Balloon(少女と風船)》が、104万2000ポンド(約1億5000万円)で落札され、その直後に自動スライスされたという話題が世界中を駆け巡っています。オークションを実施したサザビーズによると、額縁にシュレッダーが仕掛けられていたためとしています。

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目の前で切断されるのが現代アート

バンクシーの公式サイトでは、オークションで落札されてから、スライスされるまでの様子を撮影した動画が公開されています。額縁に電動シュレッダーをセットし、会場付近で遠隔スイッチオンしたようで、みんな「ぽかーん( ゚д゚)」となっています。

1.5億円で落札された作品が目の前で崩壊しているのですから、( ゚д゚)としてしまうのも当然です。

バンクシーは、自身の作品が「不当に高額で取引される」状態に嫌気がさしているのでしょうか。オークションハウスに対するバンクシーの抗議でしょうか。

ここで興味深いのは、シュレッダーが途中で止まっている、ということです。シュレッダーが途中で壊れてしまったのかもしれませんが、仮にすべてしっかりスライスできたとしても、その作品はちゃんとそこに残っています。もし、本気で抗議するのであれば、薬品で溶かしたり、熱源で焼いたり、という手法もあったはずです。動画公開しているところを見ると、やはり「話題性」のためですよね。自身の作品がオークション市場で取引されることを見越して、額縁に細工し、オークションに出品されているのです。

バンクシーは、シュレッダー額縁を誰に渡して、誰がサザビーズに持って行ったのかな?いろいろと疑問が沸き上がります。

スライスされても価値が上がるのがバンクシー流

ちらほらと、切断されてがっかりーという声も聞こえますが、実はこれ、後々相当値段が上がりそうです。作家本人がシュレッダー機構も含めて、一連の制作風景を映像でしっかり残し、その様子が世界中に配信されたのです。作品には、バンクシーがオークション市場に対する何らかの抗議の意味合いが新たに付加され、その物理的証拠として、下半身がきしめん状にスライスされた状態で、ちゃーんと残っているのです。

オークション市場で売買される作品の収益は、一般的には作家へは1円も入ってきません。ですが、イギリスでは2006年に追求権(自らの作品が転売されるごとに作品の売価の一部を得ることができる権利)が認められていることもあり、落札収益の一部は作家へ支払われるのではないでしょうか(分かりませんが)。

追求権は、著作権の支分権として位置づけられますが、他人に譲渡することができない(一身専属性)ため、著作者人格権としての性質をも併有するとあります。ポイントは「作家本人」ですが、覆面アーティストのバンクシーに、これが適用されるのかどうか・・・。

スライス事件に、どのような意図があるかは分かりませんが、オークション市場への抗議だとしたら、皮肉にも更なる作品価値の向上になりそうです。あと何年後かに、再びオークション市場に登場した際、いくらの値段が付くのか、みんなで待っていましょう。

【追記】作品名は「愛はごみ箱の中に」決まり!

2018年10月11日、オークションの売買が成立し、《Girl with Balloon》という元の作品名から、新しい作品名は《Love is in the Bin》になったそうです。

Banksy, Love is in the Bin, 2018

Banksy, Love is in the Bin, 2018

 

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