グラフィティ・アートに675万ドル!

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グラフィティ・アート(落書き)で有名なニューヨークの5 poinz(ファイブ・ポインツ)で、今後のグラフィティ・アート界のマイルストーンとなる出来事がありました。
グラフィティ・アートが描かれた建物を取り壊した住宅開発業者に対し、米連邦地裁は、なんと$6.7 million !の賠償命令を出したのです。
日本円に換算すると1ドル=106円で7.1億円。
New York Times

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5Pointz murals. Photo Lina Reyes, via Flickr. 

今回のポイントは、米連邦地裁が、「建物の所有権者」に対し、「21人のグラフィティ・アートの制作者」への損害賠償として、7億円を支払うよう命じたという点です。

土地建物の所有権者は、これまで壁への落書きを許可し、さまざなグラフィティ・アートが描かれることによって、観光名所となるほど有名になっていましたが、新たな土地開発のためにこれらの絵を撤去しました。アメリカでは、土地を所有していても、壁に描かれたグラフィティ・アートを破壊してはならない、というアート制作者の権利が「視覚芸術家権利法(VARA)」によって認められているのです。

「壁の落書きは芸術か?」という問いに、裁判所が「YES」と答えたと表現する人もいます。

グラフィティ・アートで有名なのはバンクシーですが、近年はこのようなストリートアート作品が大衆的な支持を得、経済的にもその地位を確実に築いていることが感じられます。

日本ではまだまだグラフィティ・アートに対する社会的な認知度は低く、どちらかというと「迷惑行為」という認識のほうが強いのではないでしょうか。近年はグラフィティ・アートと称して、外国人がスプレー缶を両手に、落書きをして去るという報道もありました。

この件は、二者の視点で見る必要があります。
一者は作品を破壊されたアーティスト、もう一者は土地建物の所有権者です。
建物のオーナーは、もともとストリートアートに理解を示していたからこそ、グラフィティ・アーティストに、20年間にわたり、その場を彼らの活躍の場として提供してきています。
この20年の間に、ストリートアートは地位を築き、アーティスト達は自由に創作し、街は観光客を呼び寄せるという経済効果も得たのではないでしょうか。

街は生き物です。
東京も、時代に合わせて形を変えながら現在に至っています。
古き良き文化や建物は新しいものに変わったり、融合したりしてきた事実があります。
経済的視点では、20年間という長き間、芸術振興のために場所を提供してきたものの、新たに街を作り直していくという事業者の考えも否定してはいけないのだと思います。
それにもかかわらず、7億円の損害賠償金を払わされることになったのです。
もっとも、土地開発事業者ですので、それなりに資本がある上に、この損害賠償金は結局は土地の利用者から回収されることになるので、賠償金額はほどほど妥当な価格だと思います。

とはいえ、今回はオーナーさんのやり方がまずかったです。たぶん、ある日突然取り壊したのではなく、それなりに会話を重ねてきたのではないかと推察しますが、絵を白塗りしては、これはアーティストに対する冒涜です。
さらに推察ですが、オーナーは話が進まず、ちょっとキレちゃったので、白塗りという行動を取ったのではないかと思います。

どうすればよかったのでしょうか?
以下のようなアイデアはどうでしょうか。
●当初から期間を決めて、場を提供する。
●作品集として、正式なカタログを出版し、記録を後世に残す。
●やむを得ず破壊した作品の一部を、美術館や企業と共に移築する。

今後は、グラフィティ・アートの保存方法について、活発に議論されることを望みます。

 

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