茨城県笠間市の「笠間日動美術館」では、2018年3月17日(土)~5月20日(日)の期間で、日・エクアドル外交関係樹立100周年 「古代文明への旅 ―アステカ、マヤ、インカまでの道のり―」 Ancient Civilizations of the Americasが開催されていました。
笠間日動美術館
笠間日動美術館とは、東京・銀座にある日動画廊創業者である長谷川仁・林子夫妻によって、1972年(昭和47年)11月に創設された美術館です。日動画廊は創業1928年と、日本国内では最も歴史があるとされる洋画商です。
なだらかな丘陵地の敷地には、企画展示館、フランス館、パレット館の展示館に加え、敷地の高低差を活かした野外彫刻庭園があります。
企画展示館
年間を通じさまざまな特別展が開催されますが、特別展と同時に、「鴨居玲の部屋」を見ることができます。自画像やデッサン帳、身の回りにおいていた愛用品などが展示されています。
フランス館
日本の近代絵画に大きな影響を与えたヨーロッパ印象派からエコール・ド・パリへと続くフランスゆかりの著名画家の作品が幅広く常設展示されています。モネ、セザンヌ、ルノワール、後期印象派の巨匠ゴッホを始め、独自の世界を築いたドガ、ナビ派のボナール、色彩画家の頂点に到達したマチス、20世紀の美学革命を果たしたピカソ、立体派のブラックなど典型的な作品もあります。
また、ちょっと意外な作品としては、ルノワールの立体彫刻「大きな勝利のヴィーナス」(1915-16年:ブロンズ)があります。最初は気づかなかったのですが、じっくり見てみると、たしかにルノワールの作風です。フォルムとしては、前出の「横たわる裸婦」に近いのですが、実際に間近で見ると、ルノワールの絵が持つ優美さとは違う力強さを感じます。この作品が作られた時のルノアールは70歳半ばとなっていたようですが、このような魅力的な作品が生み出されていたとは驚きました。ルノワールは晩年に約15点の彫刻作品を残したそうで、貴重な作品だったんですね。JR静岡駅南口広場にも同じものが設置されているそうです。
パレット館
世界的にも珍しいユニークなパレットコレクションは、ユトリロが愛用のパレットに絵を描いて画商ペトリデスに贈ったように、美術館の創設者である長谷川仁氏が、多年のつきあいがあった画家たちから譲り受けたものだそうです。
パレットには絵の具の配色だけでなく、その画家の好む主題が描かれています。花、裸婦、風景、人物などやパレットの指穴を利用してユーモアにあふれた絵が描かれています。パレットを見ることで、画家の創作の秘密をうかがい知ることもできます。
野外彫刻庭園
野外彫刻庭園は、箱根彫刻の森美術館のように、彫刻が点在しています。船越保武氏の「原の城」でしょうか。
企画展 「古代文明への旅 ―アステカ、マヤ、インカまでの道のり―」
日本とエクアドル外交関係樹立100周年を記念して開催される本展は、中南米地域の古代人が作った土器、土偶、織物、金製品などを展示し、知られざる中南米の古代美術を紹介します。
本展では、BIZEN中南米美術館の貴重な収蔵品を核にバルディビア文化(前4350~前1500年頃)からアステカ王国、マヤ文明、インカ帝国滅亡(16世紀)までの長い道のりの間に作られた美術品を紹介します。芸術という観点からベールに包まれた古代人に迫ります。
展示物は土偶が中心です。これでもか!というくらいのゆるキャラがたくさん出てきます。今回の展示会の案内役として、ヘソイノシシ土偶のペッカリーが一番人気です。また、ネコの土偶は、ホームセンターに売られていそうなくらい現代的なフォルムです。
土偶はやっぱり魅力的な作品が多いですね。
コメントを残す