東京都庭園美術館で「ブラジル先住民の椅子 野生動物と想像力」展

2018年6月30日(土)-9月17日(月・祝)の期間で、東京都庭園美術館で「ブラジル先住民の椅子 野生動物と想像力」展が開催されています。7月20日ー8月31日までの毎週金曜は、サマーナイトミュージアム(夜間開館)ということで、夜21時まで開館していますので、仕事帰りにGO!!です。

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日本初公開!先住民の『椅子』だけに絞ったコレクション

南米大陸、ブラジル北部のアマゾン河やシングー川流域で暮らす先住民の人びとが作り出す木造りの椅子。これら先住民が作る椅子を15年以上にわたり収集しているのが、「ベイ・コレクション」です。ベイは、ブラジル・サンパウロに拠点を持つ美術・建築関連の出版社です。同社の持つ300点を超えるコレクションの中から、選りすぐりの作品を展覧する、世界でも初めての機会となるそうです。

夏の夜の庭園美術館で、ブラジル先住民のゆるキャラ椅子を愛でる金曜日

夏の夜の庭園美術館で、ブラジル先住民のゆるキャラ椅子を愛でる金曜日

以前、笠間日動美術館 「古代文明への旅 ―アステカ、マヤ、インカまでの道のり―」でも見たように、どうも中南米の造形は動物などが多く、どこかゆるキャラな印象がありますが、今回の椅子コレクションもその期待に応えてくれる椅子がたくさんいます。

いきなりブラジル先住民の椅子がお出迎え

入館し、すぐ左には、早速ブラジル先住民のゆるキャラ椅子がお出迎えをしてくれます。なんとこれが、ちょっとおしゃれ。そのまま雑誌の表紙であるかのようなタイポグラフィーっぷり。↓の画像、ポスターではないですよ。

ブラジル先住民の椅子の展示会場入り口が最高にクール。

ブラジル先住民の椅子の展示会場入り口が最高にクール。

期待に胸が躍ります。

見どころは、ブラジル先住民の椅子のみに特化した、2018年現在、27部族に渡る、350点を超える数の椅子のコレクションを所有する世界最大規模のコレクションの中から、選りすぐった17部族からなる椅子コレクションの数々。

展示会場に入れば、そこは和洋折衷なアールデコな館内に、モコッとした造形の動物椅子たち。さっそく、サルっぽい椅子ががっちりハートをキャッチします。この2体が最初の展示品ですが、いくらなんでもサイズ感の違い、おかしくないですか?という、日本的な思考がいけないことに気付かされます。これでいいんです!

入場後、すぐの部屋にあるサルとシカの椅子。

入場後、すぐの部屋にあるサルとシカの椅子。

元来、木彫りの椅子の源流は、先住民の酋長、シャーマン、戦士が村の儀式で使っていた椅子にさかのぼるようです。かつては霊験を求めて、その椅子には天界の使者を想わせるコンドルや、雨を呼ぶと信じられたジャガーなどの姿が合体されました。

現在では、そのような儀礼的な概念から離れ、見る者に鮮烈な印象を残す、野生の動物の姿を単純化させた視覚表現となっています。このゆるキャラチックな造形が私たちの心をキュンキュンつかむのです。

ブラジル先住民の放つ椅子の造形美とは!?

手前の椅子、ジャガーだって言い張るんだよ。イグアナとかトカゲと感じた方、違いますよ、これがジャガーです。コモドドラゴンでもないです。我々の思い描くジャガーとはたいそう異なる感じですが、やっぱり、これでいいんです!

手前の椅子、ジャガーだってよ・・・。

手前の椅子、ジャガーだってよ・・・。

本展の会場構成は、世界的に活躍を続ける建築家・伊東豊雄さんが手がけているだけあって、「えっ!?」と驚かされます。エイ(魚類)とジャガー(哺乳類)が並列で展示されています。しかも、エイは異なる造形が2体。

エイとジャガーの組み合わせ。

エイとジャガーの組み合わせ。どうしてこうなった。

追い打ちをかけるように、ムササビのようにシッポを広げる自称ジャガーの微笑み。「今日、良いことあったの?」、「おいしいもの食べたねぇ~」とブツブツと話しかけたくなる造形です。

ジャガーの微笑み。

ジャガーの微笑み。

驚きの動物椅子たち

ジャガーさんの他に、どうしてこうなった、という椅子が次々と出てきます。

まずは飛ぶサル。サルを飛ばそうと思った発想に脱帽です。しかも強烈な白目。

飛ぶサルの椅子。

飛ぶサルの椅子。

次いで、エイの横にいるコウモリ。おかしな造形ですが、これで正解です。コウモリのおなかに座るのです。白目をむいたコウモリが酋長のお尻を支えるのです。

コウモリの椅子は、おなかに座ります。

コウモリの椅子は、おなかに座ります。

新館には、さらに多くの動物椅子が展示されています。リラックスして鑑賞できるように、会場にはクッションソファーが準備されていますので、お気に入りの動物の前で、何時間でも語り合っていただくことができます。

更に数多くの動物椅子を、間近で見ることができるスペースも用意されている。

更に数多くの動物椅子を、間近で見ることができるスペースも用意されている。

これまで見てきた椅子たちの多くは、魚類であっても「脚」を持っていましたが、こちらの作品名「魚」には脚がなく、魚の木彫り以外、何とも回答のしようがありませんが、たぶん椅子です。これでいいんです!

サカナ。

サカナ。

どうも日本的な思考ですと、見たままを表現するという思想に陥りがちですが、今日見たジャガーを自分なりに解釈したっていいんです。そんな感覚を思い起こさせてくれる、会場内で一番かわいくないのが愛らしいジャガーさんです。やや、しゃくれぎみで、「ウェイ、ウェイ」と言って、遠く一点を見つめるジャガー。
もちろん、このほかにも、個性的な動物椅子があちこちで見ることができます。

会場内で一番かわいくないのが愛らしいジャガー。

会場内で一番かわいくないのが愛らしいジャガー。

最後に、本展示で最も注目されるべき動物椅子は彼、「こっち見んなサル」です。
首がグキッッ!とこっちを見ているのが素敵です。

ジッとこちらを見つめるサルの椅子。

ジッとこちらを見つめるサルの椅子。白目で。

金曜夜の客層は、思いのほか女性の方が多かったです。このような造形は、女性のハートをつかむんでしょうかね。

マストバイ・アイテムはこれ

ブラジル先住民が作った椅子のシール9種18枚入り(550円+税)。ココやあそこに展示してあった椅子たちが私たちの手の中に!パソコン周りにペタペタ貼りましょう。

ブラジル先住民のシール

ブラジル先住民のシール

展示会概要

展覧会名:ブラジル先住民の椅子 野生動物と想像力

会期:2018年6月30日(土)〜 9月17日(月・祝)

会場:東京都庭園美術館
東京都港区白金台5-21-9
ハローダイヤル 03-5777-8600

休館日:第2・4水曜日(7/11, 7/25, 8/8, 8/22, 9/12)

開館時間:10:00–18:00 (入館は17:30まで)
*7月20日〜8月31日までの毎週金曜は21時まで開館
(入館は20時30分まで)

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