国立美術館の決算書を読み解く

(独)国立美術館の財務諸表

我が国には、国立美術館が5つあり、これを運営しているのは「独立行政法人国立美術館」という団体です。
(独)国立美術館など、本来国が運営すべき事業を、直接国家が運営するのではなく、国と民間の中間の組織が運営することを独立行政法人と呼び、比較的自由な独自経営が許されている点でメリット(経営の自由度が高い)があります。

独立行政法人による「公共事業」の運営は、美術館に限らず、国立や都道府県立の病院などもこのような運営形態をとっているところが、近年では増えてきています。

今回は、この(独)国立美術館の「決算書」に書いてあることから、この団体が、どのように我が国のアート振興を担っているのかについて、考察したいと思います。

(独)国立美術館では、平成13年に国立の東京国立近代美術館(千代田区)、京都国立近代美術館(京都)、国立西洋美術館(上野)、国立国際美術館(大阪)、国立新美術館(六本木)の5美術館を運営しています。

独立行政法人は、毎年、民間の企業と同じように、貸借対照表、決算書、キャッシュフロー計算書などの作成・提出が求められています。
ここには、収益や費用のほか、どのような資産を購入したのかなど、その年にやったことなどが書かれています。
この決算書には、その年度の行ったことの「結果」が記されているのですが、数字で書いてあるため、なかなか理解しずらいところがあります。
とはいえ、決算書というのは、例えば企業であったり、個人事業主であったり、どのような経済活動でも必要な知識となりますので、理解しておいて損はないと思います。

(独)国立美術館では、毎年、財務に関する4つの報告書を公表しています。
それは、「事業報告書」、「財務諸表(付属明細書を除く)」、「付属明細書」、そして「決算報告書」です。

そもそも、財務諸表とは、主たる3諸表で構成されており、以下の通りです。
①貸借対照表…事業を実施するためには、お金が必要です。とはいえ、自分で用意できるお金に限界があります。そこで、どうしても足りないお金は、銀行などから借金(借入金)する必要があります。
お金が集まってから、ようやく事業に必要な装置(資産)を購入します。これは、例えば工場でいえば、商品を作る機械などですね。
それから、従業員を雇って、お給料を払ったり、原材料の仕入れのために、毎月お支払いしなければいけないお金などがあります。
商品を作る機械は何年も使えるので、固定的な資産ということで、「固定資産」とよばれます。
一方、仕入先から仕入れて、お金を払うのは毎月ですので、毎月の現金払いのお金が必要です。
一定の現金のことを「流動資産」(運転資金)といいます。

自己資金と借入金を合わせ、固定資産を購入したり、流動資産で支払いをした結果、各年度の最終的に、お金がどこにいくらあるのか、ということを記したのが貸借対照表なのです。

②損益計算書…①の貸借対照表に対し、損益計算書とは、いくら売り上げ、いくらの費用が掛かって、最終的にいくらの利益が残ったのか、ということを記すものが損益計算書というものです。
こちらは、だれでもイメージしやすいですね。
例えば、100円の売上があり、そのための原価が30円で、人件費10円、送料20円であったら、利益は40円です。
これが損益計算書です。

③キャッシュフロー計算書…とは、今期、何に、いくら使って、最終的にいくら手元に現金が残ったか、ということを示したものです。
特に本業の利益(②の利益)でプラスになっても、美術館であれば、新しい作品を購入すれば現金が減ります。
そして、その購入資金を借入すれば、現金は増えます。
その後、借入金を返せば、マイナスになります。
キャッシュフロー計算書とは、自己資金であろうが、借金であろうが、自分の手元にいくらあるのか、を記した財務諸表です。

このように、主要な財務3諸表を作成することによって、経営的な金銭の流れ、資産の状況を把握するのです。

次回は、(独)国立美術館の財務諸表に記された内容を読み解きたいと思います。

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